毎年12月、米フロリダ州マイアミで開催される「デザインマイアミ」は、希少価値の高いヴィンテージ家具や、限定数付きで発表された家具、インテリア小物、ジュエリー作品などが売買されるフェア。一流のデザインギャラリーと並ぶことでハイブランドとしての存在感を示す参加企業も増えている。
「デザインマイアミ」は、2005年の創設以来、全米最大級のアートフェア「アートバーゼル・マイアミビーチ」と同時期に隣接会場で開催してきた。14度目となる今回も18年12月5日から9日まで、33軒のギャラリー、個人デザイナーや独立したキュレーターなどから公募する展示エリア「キュリオ」に12組、そして特別企画展示を行う「コラボレーションズ」として19組が参加。12カ国からの出展者はラテンアメリカを含む欧米が中心だ。
参加に当たっては、「20世紀から現代までに制作された作品であること」「一貫性のある企画力を持ち、社会的かつ教育的に貢献する事業を行っていること」など具体的な条件に基づく事前審査がある。ニューヨークのフリードマン・ベンダやフランスのパトリック・セガンといったデザインギャラリーの代表格をコアに、セクションを分類せず特別企画展を点在させる会場構成には、「ハイエンドデザインへの需要を満たすだけでなく、認知度を高め、市場を活性化する」という目的が明確に示されている。
新作や特別インスタレーションも
高値で取引されるコレクターズアイテムがある一方、デザインマイアミに焦点を合わせて初披露する新作や特別インスタレーションも話題となった。例えば、ルイ・ヴィトンは家具コレクションの新作として、吉岡徳仁氏がデザインしたガラス製花器「ブロッサム・ベース」やアトリエ・ビアジェッティによる「アネモナ・テーブル」など3点を発表。フェンディはデザイナーのサビーヌ・マルセリス氏を起用し、デザインマイアミ参加10周年を記念する「シェイプス・オブ・ウォーター」と題した特別展示を行った。フェンディのロゴやデザインモチーフをかたどった10基の小さな噴水で、樹脂製とは思えない繊細な輝きを放ち、水にまつわるブランドの歴史的アイデンティティーを提示してみせた。
高い技術力でデザインの美的価値を高めるこうしたブランドに加わった日本企業は、レクサスとグランドセイコーの2社。特に初参加を果たしたグランドセイコーは、18年のミラノサローネで好評を得たインスタレーションを会場規模に合わせて再構築し、一昨年のアートバーゼルでデザイナー・オブ・ザ・フューチャーを受賞したTAKT PROJECTの吉泉聡氏の名と共に注目を集めた。グランドセイコーを冠した世界初の販売会社をアメリカで展開する同社のマーケティング戦略においても、有意義な出展となったに違いない。
次回のデザインマイアミはスイスのバーゼルで19年6月11~16日に開催される予定だ。