ペットも連れて家具選び

 店内入り口には、カフェ・カンパニー(東京・渋谷)の「WIRED KITCHEN with フタバフルーツパーラー」がある。ここで、コーヒーをテークアウトし、コンセプトルームのソファーに座りながら、家具や本、雑貨をゆっくりと選べる。ちなみに、カフェ内にある椅子などの家具も購入可能だ。

カフェでは季節のパフェもそろえる。店内の家具は購入できる
カフェでは季節のパフェもそろえる。店内の家具は購入できる

 さらに専用のカートに乗せれば、ペットを連れて店内を歩ける。コーヒーを飲みながら、ペットと“散歩”して家具を選ぶという唯一無二の体験ができる。ベッドコーナーでは、横になるだけで体圧が測定できるという、現状で世界に1つだけのシモンズベッドも用意した。

横になるだけで体圧が測定できる、世界に1つだけのシモンズベッド。オープン記念で12月16日まで設置し、19年2月以降に改めて常設する計画
横になるだけで体圧が測定できる、世界に1つだけのシモンズベッド。オープン記念で12月16日まで設置し、19年2月以降に改めて常設する計画

 「とにかく店に来てワクワク楽しんでもらえればいい。買ってほしいというよりは、自由にゆっくり寛いでいってください、というスタンス。リアル店舗が存在する意義を、しっかりと伝えたい」(岡野氏)。

TSUTAYA創業の原点に通じる

 島忠とTSUTAYAの親会社カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)は、17年にTポイントの提携を始めた。コラボ店舗のオープンにより、両社の関係はまた一歩深まる。

 家具を並べるのは、CCCにとっても新たな挑戦だが、CCCの増田宗昭社長兼CEO(最高経営責任者)は創業時から「新しい生活スタイルの情報を提供する拠点でありたい」との思いを、企画書につづっていたという。

 1983年の創業から35年。「TSUTAYAの書籍・雑誌販売額は年間1400億円を超え、日本で一番本を売るチェーン店になった」(首都圏TSUTAYAの杉浦敬太社長)が、その原点には、今回のコラボ店のように、ライフスタイルの提案という軸があった。

 先駆けとなったのは、2011年にオープンした東京・代官山の蔦屋書店だ。本、漫画、雑誌、文庫と売り場を明確に区切るのではなく、料理、旅行、クルマなどジャンル別に書棚を配置した。「スターバックス コーヒー」を併設し、店内でイベントを積極的に展開。こうした売り場づくりは台湾の「誠品生活」が先行していたが、日本ではまだ珍しく、斬新な書店として、瞬く間に世の耳目を集めた。新たなライフスタイル系書店として満を持して挑むのが、家具と融合した今回の店づくりといえる。

がっちりと握手する島忠の岡野恭明社長(左)と首都圏TSUTAYAの杉浦敬太社長(右)
がっちりと握手する島忠の岡野恭明社長(左)と首都圏TSUTAYAの杉浦敬太社長(右)

 ホームセンターの場合は半径3キロが商圏とされるが、島忠の岡野社長は今回のコラボ店の商圏を、半径10~15キロと見る。首都高速道路沿いという立地を生かし、横浜近郊だけでなく、東京都内からも広域集客を図る計画だ。「今回と全く同じ形ではないにしても、ライフスタイルを提案する新しい店舗を、どんどん増やしていきたい」(岡野氏)。その先に、中期経営計画のゴールである営業収益1500億円・営業利益140億円が見えてくる。

 モノからコトへ──家具売り場の大転換は吉と出るか。その成否は、島忠のみならず、日本の家具業界全体の未来をも占う。