MBSメディアホールディングス(HD)の新事業創出を担う子会社として2018年9月に設立したMBSイノベーションドライブ(MID)が11月29日、1号案件を発表した。15年設立の闇(東京・世田谷)の株式を8割取得し、子会社としたのだ。闇はテーマパークのイベントやプロモーション活動にホラー演出を活用するスタートアップ。1号案件がなぜホラーなのか。そこにテレビ事業の弱点を補うホラーの特性が見えてくる。
MBSは12年からお化け屋敷ビジネスを展開してきた。「面白い番組ロケができる」「音響、照明、大道具、小道具、メークなど自社のノウハウが生かせる」などの理由からだが、大きな狙いの一つは「若い顧客の獲得」だ。16年に行ったアンケートによると、10代が23%、20代が42%と全体の65%を占める。さらに男女比も男性46.2%、女性53.8%とほぼ同等。「お化け屋敷は、テレビ局がなかなか取ることができないティーン/F1M1を獲得している」(お化け屋敷を担当するMBS事業局事業部の荒井丈介マネージャー)。
若い顧客層を求めているのはテレビ局だけではない。同様に若者層の集客を狙う商業ビルやアミューズメント施設とコラボしたホラーコンテンツの開発や開催の可能性も考えられるし、さらに映像コンテンツなど若者に向けた2次派生コンテンツにもつながる。実際、過去にはお化け屋敷とテーマをそろえたテレビ番組や書籍の製作、体験型ツアー旅行を行った実績がある。
「我々は、ホラーのムーブメントを生み出す中心は30代以下の男女(特に女性)と分析している。この世代は、デジタルネーティブであり、いろいろな面でそれ以上の世代と差異がある。そこに『刺さる』コンテンツ開発には明確な入り口が必要で、その突破口の一つが『ホラー』だと考えている」(荒井氏)
そこに闇がどう関わるのか。