ロボット面接に驚く候補者

 プリンシプルは現在、積極的に人材採用する拡大期に入っているという。ただ従業員が増えると、社長は一人ひとりと対応できる時間や回数が減り、物理的、心理的に距離ができる。楠山氏は、何気ない会話でもロボット活用はその“距離”を埋める一助になり、適切だと感じている。

オフィスをめぐる。“足元”が下向きのカメラを通して見えるので、イスなどの障害物をよけられる
オフィスをめぐる。“足元”が下向きのカメラを通して見えるので、イスなどの障害物をよけられる

 楠山氏はロボットを採用面接にも利用している。会社のブランディングの一環として先進的な印象を持ってもらうためで、楠山氏自ら、米国からロボットを通じて面接相手に話しかける。「例外なく驚いてもらえる」という。

 プリンシプルでは、自律的に仕事できる人材を重要視して採用する。同社では週1日のリモートワーク制度があり、自ら働き方を管理する文化が醸成されているという。楠山氏自らがシリコンバレーに行ったように、従業員には、やりたい仕事に取り組み、住みたい場所へ行けるよう実現してもらいたいと考えている。そうすることで収益が上がれば、個人と会社がウィンウィンの状態になるからだ。そうした考えから、楠山氏は今後、海外拠点をどこに置くかは「社員が行きたい、働きたいところを考慮して決めたい」と話す。そのためにもコミュニケーションは重要であり、ロボット利用の着想につながったのだ。

 「社長ロボット」は職場にすっかりなじんだ。楠山氏は「今では会話が対面だったのか、ロボットだったのか忘れるほど」と笑う。

 利用しているロボットは、米ダブルロボティクスの「ダブル」。iPadをはめ込む上部とカメラキット、一脚のようなスティック、円筒形をしたモビリティ制御の台で構成する。iPhone/iPad、あるいはブラウザーのChromeがインストールされているPCのアプリから動かす。高さは120~150cmの間で自動調整できる。重さは約7kg。

 楠山氏はこのロボットのことを米国の雑誌で知ったという。同様のサービスを提供する2~3社を探してレビューを読み、比較した。ダブルロボティクスにデモを申し込んで実機を使ってみたところ、自らの分身が乗り移ったように感じられたという。ロボットの足に当たる部分がコンパクトで移動や操作がしやすく、狭い場所もあるオフィスで取り回ししやすいのも決め手だった。支柱を押しても倒れず、起き上がりこぼしのようにスッと立ち上がる。

 価格は最安値で3000ドル(iPadは利用者側で用意する必要がある)。ケースや保証などはオプションで、月額利用料はなく、買い切りになる。

 購入に当たっては、楠山氏はプリンシプルの他の経営陣に対し「道楽にならないよう、継続して使えるか、投資になるか」の点を説明したと話す。