2018年11月1~11日まで、東京・日本橋で若手クリエイターと地元企業が共同で新しいのれんをデザインするという「未来ののれん展」が開催された。最新技術を取り入れたのれんは、街の人々の注目を集めた。協力企業は「コレド室町」「にんべん日本橋本店」など。
「nihonbashi β(ニホンバシ ベータ)」と呼ぶプロジェクトの一環で“若手クリエイターと日本橋をつなぎ、日本橋の未来をつくる”がテーマ。公募による4チーム16人の若手クリエイターと日本橋の店舗・企業により、日本橋の新たな魅力を打ち出すことが狙い。Basculeの朴正義社長がプロデューサーを務め、デザイナーなど7人が若手クリエイターをサポート。各チームがデザインした4つののれんは開催期間中、街中で観光客から注目されていた。老舗企業が多い日本橋の街並みを象徴するのが「のれん」だという。日よけや仕切りなどの機能性だけでなく、店の伝統や品位も表すからだ。そこで今回はのれんに着目し、最新技術も踏まえたのれんを作った。協力企業は「コレド室町」「にんべん日本橋本店」「マンダリン オリエンタル 東京」「三井ガーデンホテル日本橋プレミア」だ。
懐かしい音で来店者を迎える
にんべん日本橋本店に展示されたのれんのタイトルは「日本橋 音ノ場」。入り口の上部に指向性スピーカーを設置して、のれんをくぐると人感センサーが稼働。「とんとん」「がたがた」「ぐつぐつ」などの音が来店者の耳元に届く。店内には「だし」を味わえるスタンディングバーがあり、店の中にはかつお節の香りが漂う。「香り」と「音」をリンクさせることで、おいしそうな食の情景を再現した。コレド室町に登場したのは「のれんさま」という、のれんの神様をモチーフにしたキャラクターののれん。のれんをくぐった人に対して「天気がええのう」「ランチ何にする?」など、約220種類の言葉をスピーカーから語りかける。公式ツイッターを用意し、ツイッター上でのれんさまのつぶやきを見ることもできる。ツイッターで質問するとスピーカーから回答する仕掛けもある。
三井ガーデンホテル日本橋プレミアののれんのタイトルは、「響きあう、今と昔と」。「モアレ(うなり現象)」のあるのれんで、変化と伝統が混ざり合う日本橋の街並みを表現した。異なる模様を印刷した生地を3層に重ね合わせ、人工筋肉(バイオメタル)で動かすことで美しいモアレを発生させた。マンダリン オリエンタル 東京の「マンダリン オリエンタル 東京の風」は人感センサーによる人の動きに合わせて、重なり合った5枚の布が美しくなびく。マンダリンらしさを「風」というキーワードで表現した。のれんの制作期間は約3カ月。nihonbashi βでは、今後も新たな活動を予定している。
(写真提供/nihonbashi β project)