新しい時代の「美しさの定義」

 この他、19企業・団体などに同金賞を、12企業・団体などに同グッドフォーカス賞を授与した。18年度のグッドデザイン賞は、「美しさ」をテーマに選出したという。審査委員長を務めたデザインスタジオエスの柴田文江氏は、「大賞候補となったファイナリストの作品は、取り組みの背景にあるコンセプトの一貫性や志、プロセスなど、いろいろなところに美しさを見ることができた。色や形だけではない、新しい時代の美しさの定義を私自身も知ることができた」と振り返った。実際、本年度の大賞や金賞を受賞した作品の一部には共通点があった。それは見た目が美しいだけではなく、背景に社会問題が含まれ、その解決に寄与したデザインだったことだ。

 例えば金賞のうち1社には、台湾のGogoro Inc.(ゴゴロ)がある。電動スクーター「ゴゴロスマートスクーター」とバッテリー交換のシステム「ゴゴロエネルギーネットワーク」は、台湾のバイク事情と環境への配慮から誕生したものだ。電動バイクのニーズは高いが、充電に時間がかかり、充電できる場所も少ないといった課題を解決した。同じく金賞のHAGI STUDIOは、東京・谷中で開業しているホテル「hanare」で受賞した。これは街全体を一つの大きなホテルに見立て、地域と一体になって運営することが特徴。急増する宿泊施設が引き起こす地域住民との問題を解決しようとした。富士フイルムの「ポータブルX線撮影装置 FUJIFILM CALNEO Xair」は、超軽量のハンディースタイルの装置。背景には、高齢化社会の進展で増加が予測される在宅医療における課題への取り組みがあった。

 デザインの領域がモノからコトへ拡張していることは、デザイナーにとっては周知の事実。18年度のグッドデザイン賞は、拡張したデザインの美しさについて考え、世の中に提示する機会にもなったようだ。

 審査副委員長を務めたライゾマティクスの齋藤精一氏は、「仕組みや取り組み、触れるものすべてにデザインを施していくと、今年のテーマでもあった“美しさ”にたどり着くことが分かった。審査ではモノとコト、そのカテゴリーを取り払ってプレゼンを聞き、芯にある美しさを感じようと思った」と話す。

●ファイナリストに選出されたグッドデザイン金賞受賞作品
大賞はグッドデザイン金賞を受賞した19件のうち、大賞候補となったファイナリスト6件の中から選出された

Gogoro Energy and Transportation Platform[Gogoro Energy Network(GoStation/Gogoro SmartBatteries/Gogoro Control Center)+Gogoro Smartscooter(Gogoro 1 & 2 Series/Gogoro App/iQ System)]/Gogoro Inc.
Gogoro Energy and Transportation Platform[Gogoro Energy Network(GoStation/Gogoro SmartBatteries/Gogoro Control Center)+Gogoro Smartscooter(Gogoro 1 & 2 Series/Gogoro App/iQ System)]/Gogoro Inc.
宿泊施設[hanare]/HAGI STUDIO
宿泊施設[hanare]/HAGI STUDIO
ポータブルX線撮影装置 [FUJIFILM CALNEO Xair]/富士フイルム
ポータブルX線撮影装置 [FUJIFILM CALNEO Xair]/富士フイルム
エンタテインメントロボット[aibo]/ソニー
エンタテインメントロボット[aibo]/ソニー
駅前広場と道路空間からなる景観[丸の内駅前広場から行幸通りに繋がる景観]/東日本旅客鉄道、東京都
駅前広場と道路空間からなる景観[丸の内駅前広場から行幸通りに繋がる景観]/東日本旅客鉄道、東京都

(写真提供/日本デザイン振興会)