日本デザイン振興会は2018年10月31日、2018年度グッドデザイン大賞を選出した。大賞に輝いたのは、貧困問題の解決に向けた寺の活動「おてらおやつクラブ」だ。その他、背景に社会問題が含まれ、その解決に寄与したデザインが多く選ばれた。
グッドデザイン大賞に輝いたのは、貧困問題の解決に向けた寺の活動「おてらおやつクラブ」だ。寺に「おそなえ」される品を仏様からの「おさがり」として頂戴し、経済的に困難な家庭に「おすそ分け」する取り組みで、奈良県にある安養寺の住職、松島靖朗氏が立ち上げた。おてらおやつクラブの活動趣旨に賛同する全国の975寺院(18年10月現在)と、子どもや一人親家庭などを支援する各地域の団体をつなげ、お菓子や果物、食品や日用品などを届けているという。
活動を始めたきっかけは、13年に大阪市で起こった母子餓死事件だった。「私たちの活動は新しい知識や物を用意する必要はなく、コストもかからない。お寺の『ある』と社会の『ない』を無理なくつなげる活動。日本では7人に1人、280万人の子どもが貧困状態にある。この受賞をきっかけに、多くの人たちが貧困問題に関心を持ち、当事者として活動するきっかけになればと思う」。松島氏は授賞式で、このように話した。