ビジネスSNS「Wantedly」などを運営するウォンテッドリーは、日本郵便と提携し、名刺管理アプリ「Wantedly People」で読み込んだ名刺のデータに基づき、紙の年賀状を相手に郵送することができるサービスを提供する。2018年11月1日から19年1月11日14時まで、19年年賀状の郵送に利用できる。

 Wantedly Peopleのユーザーは、アプリを起動し、年賀状作成アイコンをタップ。表示された18のデザインから好みのデザインを選んだ後、読み込んだ名刺データの中から年賀状の受取人を指定し、最後に年賀状に表記されるユーザー(年賀状の送り手)の住所を選ぶだけだ。すると指定した相手に住所確認メールが自動で送信され、相手が住所確認をした場合、その時期が来たら年賀状が郵送されるという仕組みだ。

アプリ上で必要事項をタップしていくと紙の年賀状を相手に送れる
アプリ上で必要事項をタップしていくと紙の年賀状を相手に送れる

 ネットから紙の年賀状を発送手配できる類似のサービスは他にもあるが、今回のウォンテッドリーのサービスのミソは、先着5万枚までとサービス全体の枚数制限はあるものの、Wantedly Peopleユーザーならば誰でも無料で、何枚でも紙の年賀状を郵送できることにある。

 類似のサービスのほとんどは有料なのに今回、ウォンテッドリーが費用を全額負担してまで無料でサービスを提供するのには理由がある。紙の年賀状をトリガーにして、Wantedly Peopleの新規ユーザーを獲得しようというのだ。

 今回の仕組みでは、Wantedly Peopleのユーザーが、名刺を交換した相手に紙の年賀状を送ることになる。しかし、送り先の相手がすべてWantedly Peopleを利用しているとは限らない。中にはWatedly Peopleを全く認知していない人々もいるはずだ。

 そこでウォンテッドリーは、ユーザーが年賀状の送り先を選んだ後、相手に住所確認メールが自動で送られる際、そのメールを使って、相手に対して、「あなたもWantedly Peopleの仕組みを使って年賀状を発送してみませんか」と働きかけ、Wantedly Peopleの新規ユーザーの獲得を目指す。

獲得単価がネット広告よりも割安

 ウォンテッドリーはこれまで、こうした新規ユーザーの獲得には主にネット広告を活用していた。今回、アプリのユーザーが紙の年賀状を送る際の費用を全額負担しても、ネット広告を使って新規ユーザー1人を獲得するコストに比べて安価に、新規ユーザーを獲得できそうだと判断したという。

 紙の年賀状の利用枚数は年々減っており、特に個人向けの利用、それも30代以下の年齢層の利用が落ち込んでいるという。提携する日本郵便にとっても今回のウォンテッドリーの取り組みは、Wantedly Peopleの主要ユーザーである20~40代のビジネスパーソンを、法人向けに紙の年賀状を出す行為に誘導できるため、大きな意味を持つ。ウォンテッドリーの思惑通り、新規ユーザーを低コストで獲得できれば、次年度以降もこの年賀状サービスの取り組みが継続されそうだ。

■変更履歴
ウォンテッドリーへの日本経済新聞社の出資についての記述に誤りがありました。お詫びして訂正します。該当箇所は削除しました。[2018/11/9 17:00]
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