今回、ローマー氏が経済学賞を受賞したことが示唆する意味を、真摯に受け止める時期が来た。さもなくば、さらなる沈滞を免れえない。

イノベーションを実現するための行動指針
 今回ローマー教授の業績を解説してもらった紺野教授が代表理事を務めるジャパン・イノベーション・ネットワーク(JIN)は、「大企業からはイノベーションは興らないという定説を覆すために、大企業・中堅企業のイノベーションを支援。イノベーションを興し続ける企業を、第一段階で100社生み出し、日本をイノベーションが興り続けるイノベーション国家に変革する」ことを目指している一般社団法人である。
イノベーションを興すための経営陣の5つの行動指針(一般社団法人ジャパン・イノベーション・ネットワーク「イノベーション100委員会レポート」から)
イノベーションを興すための経営陣の5つの行動指針(一般社団法人ジャパン・イノベーション・ネットワーク「イノベーション100委員会レポート」から)

 活動内容は多岐にわたるが、その1つとして、企業経営者をメンバーとした「イノベーション100委員会」を組織。さまざまな提言活動を展開している。その1つが、上に示した「イノベーションを興すための経営陣の5つの行動指針」だ。

 「指針1:経営者は変化を見定め、変革のビジョンを発信し、断行する」「指針2:創造性と効率性、2階建ての経営を実現する」「指針3:価値起点で事業を創る仕組みを構築する」「指針4:社員が存分に試行錯誤できる環境を整備する」「指針5:組織内外の壁を越えた協働を推進する」など主に経営者に向けて、具体的な行動を呼びかける内容になっている。

 このうち「2階建ての経営」という言葉は聞きなじみがないかもしれない。これは、従来の本業(1階)での効率的な事業展開と、事業創造活動(2階)とを両立させる経営のことを指している。

 こうした活動に加えて、紺野教授の記事にもあるように、ISOが進めているイノベーションマネジメント(経営)の標準化(ISO化)についても関わる。JINの提言やISO化などは、暗中模索で取り組むケースが多いイノベーション実現の手掛かりとなる可能性があるだろう。(安倍俊廣)

【新刊予約受付中】
専門レポート『マーケティングDX最新戦略』

顧客に適時に適切な方法で売り込み、顧客に寄り添ってカスタマーサクセスを実現するにはどうすべきか。マーケティング×DXの戦略立案、実行に必要な打ち手がここに。
日経クロストレンド編集部、日経BPシリコンバレー支局、20人以上の専門家が執筆。600ページ以上に、国内100社、海外50社、1234のマーケテックソリューション一覧、打ち手を見つけられるマーケティングDXマップなどを掲載。
日経BPのマーケティングDX最新戦略サイトへ