接客で差異化することは顧客体験の向上にもつながるかと思いますが、Amazon GoのようなAIを使ったレジなし店舗も意識しているのでしょうか。

 デジタル化=顧客体験の進化ではないと思うんですよ。非常に重要なことだけれども、パーツだと思うんですね。一番大事なことは、直感的に気持ち良く買えること。これが大事だと思うんですね、業態を問わず。

 直感的というのは、どこで何が売っているかが即座に分かって、特にPOPとかガイダンスがなくてもサッとそこに行けて、棚の前に行くと直感的にどれが高くてどれが安いか、どこが違うのかなどが分かって、「じゃあ、これを選ぼう」というふうに、すべてが説明なく買える売り場だと思うんですよね。ストレスフリーなんです。

 そういう売り場を作る技術とかノウハウってあると思うんですね。一例を挙げると、何かのカテゴリーの中に4つの商品の選択肢があるとしてその4つが左から右に並んでいたら、お客さんは何となく左から順番に見るから、お客さんの心情的には左のほうがプライオリティーが高くなる、みたいなこととか。フェースを4つ取っている商品と2つ取っている商品だったら、4つのほうがお薦め度が強くなるとか、そういったお客さんとリテーラーの間にある暗黙の作法みたいなことを駆使していって、もっと直感的に買える売り場を作ることはできると思います。

 よくできる店舗マネジャーは、誰から説明されるでもなくそれをやっているんですね。それを全体としてやっていけるように方法論化していくと、売り場全体の直感性が大幅に上がる。それをベースに、次はどんな商品をお薦めしたいかをちゃんと決める。そのうえでデジタル技術を使って、実際にお客さんがどのように買うかをセンサーでチェックして、間違いがあったら正し、販売のペースがもし当初の想定と違っていたらそれに従って補充のぺースを変え、隠れた売れ筋があったらそれを前に出すなど、みたいなことができていけると思うんですよ。

 そんなことを全体的にダイナミックにやっていくと、ストレスフリーに買える買い物環境というのがまだまだ追求できると思います。そういうことをやって、接客サービスレベルの適正化を図っていくと、いい買い物経験というのが達成されると思うんですね。

 さらにそこに各リテーラーらしさ、ヨーカ堂ならヨーカ堂らしさをどう乗せていくかを考えて実践すれば、それぞれのリテーラーなりの顧客経験が完成する。そのらしさというのは、例えばハイアットとリッツは両方一流ホテルですけど、全然サービスが違いますよね。ハイアットはすごく都会的でわりと突き放すサービスだけど、リッツは逆。でも、どちらも一流のサービスに変わりはない。どういった方向を追求していくかが、ヨーカ堂らしさとか、それぞれのリテーラーらしさの核になると思うんですね。

元西友CMO富永氏がヨーカ堂へ「総合スーパーは死んでいない」(画像)