日本製紙と四国化工機は、固形物や繊維の長いもの、粘度の高い内容物を充塡しやすくした新しい紙パッケージと生産システムを共同開発したことを発表した。野菜果汁飲料やスムージー、コーンスープなど、果肉や食物繊維、細かく砕いた食材を含む飲料の製造に適しているという。

「NSATOM」を使用した飲料の例。左から200ml、250ml、300ml
「NSATOM」を使用した飲料の例。左から200ml、250ml、300ml

 「日本製紙と四国化工機による紙容器に最適化した無菌充塡システム」(Nippon-Shikoku Aseptic Total Optimized Method」の意味で「NSATOM」(えぬえすアトム)と名付けた。2019年から市場投入していく。

 健康志向の市場が拡大し、食物繊維などが入った飲料も増えているが、プラスチック製の容器に入った商品が多い。環境負荷の低減を狙って、プラスチックから紙の容器に替えたい場合でも、紙を使う現行のロール型の生産方式では充塡液が入ったまま紙を封止するため、食物繊維などが封止した隙間の部分に挟まってしまい、実際には難しかったという。そこで新方式を開発し、紙の容器に充塡液を流した後に封止するようにした。「現行の生産方式よりコストはかかるが、付加価値の高い飲料の開発につながるだろう」と日本製紙の執行役員紙パック営業本部長、大林保仁氏は期待している。

 蓋も工夫し、ペットボトルのようなねじ式にすることで携帯性の向上を狙った。注ぎやすくするため、蓋は中央部ではなく端の角部に配置している。注いだときに中身が流れやすくなり、固形物も内部に残りにくいという。

 さらに容器の角には凹部を作り、例えば「100%natural」といった商品アピールのキャッチフレーズも施せるようにした。この凹みにより、持ちやすさの向上も狙った。

(左)容器の角に凹みを作ることで、キャッチコピーを入れたり、持ちやすくなるようにした (右)蓋を中央部ではなく端部分に配置することで、食物繊維や固形物を含む飲料でも注ぎやすいという
(左)容器の角に凹みを作ることで、キャッチコピーを入れたり、持ちやすくなるようにした (右)蓋を中央部ではなく端部分に配置することで、食物繊維や固形物を含む飲料でも注ぎやすいという
ロール型による生産方式とNSATOMによる新しい生産方式の違い(日本製紙の資料による)
ロール型による生産方式とNSATOMによる新しい生産方式の違い(日本製紙の資料による)

(写真/丸毛 透)

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