ファーストリテイリングは2018年9月19日、同社が目指す「情報製造小売業」構想の実現へ向けて米グーグルクラウドとの協業を進めると発表した。グーグルが提供する機械学習技術などを使い、商品トレンドや需要予測、個々の顧客が求める商品開発、提供の実現を目指す。記者会見には柳井正会長兼社長も登壇し、グーグルへの期待を熱く語った。

記者会見に登壇した米グーグルクラウドCEO(最高経営責任者)のダイアン・グリーン氏(左)とファーストリテイリングの柳井正会長兼社長
記者会見に登壇した米グーグルクラウドCEO(最高経営責任者)のダイアン・グリーン氏(左)とファーストリテイリングの柳井正会長兼社長

 柳井正会長は、「需要はあらゆるデータがないと予測できない。(グーグルが持つ)世界中のあらゆるデータ、我々の服の需要に関するデータを集めて分析して、それを最適化していく」とグーグルと進めるAI(人工知能)技術の活用への期待を表明した上で、「グループ合わせて世界に約3400店ある。それぞれに最適な在庫は何かをグーグルと研究したい」と展望を語った。

 ファーストリテイリングが進める情報製造小売業は、顧客を深く理解し、顧客が求めるものだけを作り、最適な形で薦めることを目指す。実現へ向けてはアクセンチュアと15年9月にデジタルイノベーション推進のための共同出資会社ウェアレクスを作り、17年3月にオフィスと物流倉庫を一体化させて働き方を変える「有明プロジェクト」を公開して、構想実現へと進めてきた。

 グーグルはクラウド事業で企業向けに画像認識などのAIサービスを提供するほか、企業が独自AIを開発できる環境を提供する。その普及へ、顧客企業のエンジニアとグーグルのエンジニアが専用施設で一緒に作業し、機械学習の習得やビジネス課題の解決を支援する「Advanced Solutions Lab(ASL)」を米カリフォルニアなどに設置している。ファーストリテイリングは同施設で、顧客の声や行動情報・外部情報に販売実績データを加えて分析し、顧客をより深く理解し、商品を企画・開発する仕組みをグーグルと共同で進めている。こうした協業を今後さらに強化し、分野を広げていくという。

 グーグルは18年9月19日に4カ所目となるASL東京の開設を発表した。ファーストリテイリングを皮切りに日本での協業先を増やしていきたい考え。AI活用に必要なスキルを学ぶオンライントレーニングの日本語での提供も開始した。

「僕は日本の企業の方に言いたい」

 柳井会長は会見中に、AIと人の役割分担に対する考えも語った。「将来的には繰り返す単純な仕事は全部機械やAIがやって、人間は本来のクリエイティビティー、イノベーション、ディープシンキングを担う。データがあってもインサイトがないといけない」と話す。人の働き方を変えるためのコミュニケーションプラットフォームとしてグーグルの「G Suite」を導入して、全社員が同じ情報を基に完全連動した働き方を目指す。

 会見の最後、柳井会長は「僕は日本の企業の方に言いたい」と、次のように締めくくった。

 「デジタルによって初めて“超情報化”することが、あらゆる産業に来た。自分たちのビジネス自体を変えないと大変なことになる。できるだけ早くデジタルの技術を、全部の企業のビジネスプロセスに入れないとうまくいかなくなる。その点でグーグルにはすごく期待している」