2018年9月5日、東京国際フォーラムにて開催された「ALIPAY DAY 2018」において、LINE Pay取締役COOの長福久弘氏は「7600万ユーザーに仕掛けるLINE Payの決済革命」と題し講演した。日本のキャッシュレス化を推進するために決済の革命を起こしていきたいと語り、同社の今後の戦略を披露した。

LINE Pay取締役COOの長福久弘氏
LINE Pay取締役COOの長福久弘氏

 LINE Payはコミュニケーションアプリ「LINE」上で動く決済サービスだ。14年に始まった。LINE Payが目指すのは、「キャッシュレス&ウォレットレス」。つまり、現金や財布のない世界だ。LINEはスタンプという新しい体験でコミュニケーションに変化を起こしてきたが、LINE Payでも決済の分野で新しい価値を生み出そうとしている。

 しかし、日本は現金の流通が多いのが特徴だ。ATMなど現金利用を支えるインフラが充実しており、キャッシュレス決済の普及率は20%にすぎない。

 「経済産業省は25年までにキャッシュレス比率を40%にまで上げるという目標を発表した。ゆくゆくは世界最高水準である80%まで上げる計画だという。LINE Payもこれを目指し、決済革命を起こしたい」と長福氏は熱く語る。

LINE Payの決済金額は前年比2.5倍

 LINE Payは送金サービスと決済サービスの2つの軸を持つ。コミュニケーションアプリの特性を最大限に利用するため、ユーザー間の送金サービスを重視している。そのため、送金時に与信が必要なクレジット連携型ではなく銀行口座連携型を選択しているのが特徴だ。また、決済サービスでは、QRコード決済、JCBと連携した「LINE Pay カード」、「QUICPay」と連携した非接触型決済の3方式に対応している。LINE Payで送金されたお金を出金することも可能だ。

 現在、LINEユーザー約7600万人のうち、LINE Payのユーザー数は3000万人。国内において急速に成長しており、昨年対比で送金件数は約2.8倍、決済金額では約2.5倍になった。QRコード決済においては、加盟店が増加していることもあり、約11倍に伸びた。これらの取引の安全を支えるため、AIでの不正検知や24時間365日のモニタリング体制などの対応をとっているという。

年内100万店の目標は見えてきた

 キャッシュレス社会を推進するためには、ユーザーと加盟店の両方の利便性が高まることが鍵となる。

 LINE Payではユーザーの利用金額に応じてポイント還元率を変えるというインセンティブプログラムを提供している。最大で2%のポイント還元率を設定しており、さらに19年夏までのキャンペーンとしてQRコード決済をしたユーザーにはプラス3%のポイントを付与することで、QRコード決済の利用促進を狙う。

 また、店舗側には、初期費用と決済手数料を無料にする施策を進めている。6月に加盟店向けアプリをリリースし、オーナーのスマートフォンにアプリを導入してもらうことによってこれを実現した。さらには、金額を入れればQRコードが生成される独自機器も提供予定。また、18年4月に資本提携したネットスターズ(東京・中央)の「StarPay」端末を使えば、アリペイ、LINE Payの両方の決済が可能となるなど、店舗側の利便性も高めようとしている。

 現時点でLINE Payを導入する意思を表明した加盟店総数は9万4000。その数は今も増加中で、6月にQUICPayと連携したこともあり、年内100万店の目標はある程度見えてきているという。

決済をコストから資産へ

 これまで加盟店からすると決済はコストと思われてきたが、これを資産に変えるソリューションを展開しようとしている。具体的には、決済した顧客に店のアカウント登録を勧める機能だ。ユーザーと店鋪間のコミュニケーションを促進することで、店舗の売り上げの増加を見込む。

 「我々のコアサービスはコミュニケーションだ。こういったサービスを展開できるのは我々だけだろう。他社がこれをやろうとするとメールアドレスを登録するなど複雑な動線が必要だ」と長福氏はアピールした。

 自治体との協業も積極的に進めている。6月には福岡市のさまざまな公共施設でキャッシュレス決済の実証実験を開始。神奈川県においては8月から水道料金のLINE Payでの支払いを可能にした。

 海外との連携も計画中だ。LINEは日本だけでなく、アジアを中心に利用が拡大しており、台湾、タイ、インドネシアなどではLINE Payのサービスも提供している。海外のユーザーが日本に来た時にシームレスに利用できるといったインバウンド対策としての役割も構想しているという。

決済以外の金融サービスも構想

 18年1月にはLINE Financialという会社を設立。この秋以降にさまざまなサービスを展開しようとしている。目指すのはLINE Payを中心としたトータルサービスの提供だ。

 「ユーザーには、ローンや保険、証券、ショッピングなどの金融サービスを。加盟店にはアカウントを連携し、広告の購入や給与振込、シフト管理、求人など、総合的なサービスを展開していきたい。単なる決済の利便化だけでなく、生産性向上や利益拡大に寄与するソリューションを提供できればと思っている」と長福氏は今後の展望を語った。

(写真/新関雅士)