凸版印刷は2018年7月17日、シーンに応じて複数の香りを瞬時に切り替えることができる芳香装置「アロマシューター」を活用した空間演出ソリューションの提供を開始した。

ヒーリング映像を見ながらリラックス。森の画面では森の香りが、せせらぎの画面では水をイメージする香りが流れる。香りは調香師と共にイメージを基につくりあげていく(写真/西田香織)
ヒーリング映像を見ながらリラックス。森の画面では森の香りが、せせらぎの画面では水をイメージする香りが流れる。香りは調香師と共にイメージを基につくりあげていく(写真/西田香織)

 アロマシューターは、京都府のベンチャー企業アロマジョインが開発した気体噴射方式の指向性芳香装置。固形化した香料に高圧の空気を送ることで、香りを気体として噴射する。液体香料を霧状にして噴射する一般的な方式に比べ、香りが短時間で消えてその場に残りにくいのが特徴だ。また、香りが空間全体に広がらず、狭い範囲にピンポイントで噴射でき、一人ひとりに違う香りを送ることもできる。

 装置には最大6つのアロマカートリッジを装塡できる。タブレットやスマートフォンなどの情報通信端末から操作が可能。ムービーなどに合わせて任意の香りを順番に出したり、ゲームなどで、場面展開に応じた香りを出すといった制御もできる。店頭プロモーションやエンターテインメントで香りによる顧客コミュニケーションを実現できる。

ムービーに合わせて香りを流すアプリケーションの例。香りが残らないので、前の香りと後の香りが混じり合う心配がない
ムービーに合わせて香りを流すアプリケーションの例。香りが残らないので、前の香りと後の香りが混じり合う心配がない
アロマシューター本体とタブレットで操作するアプリケーション。6つの香りのアイコンに触れると香りが流れる(写真/西田香織)
アロマシューター本体とタブレットで操作するアプリケーション。6つの香りのアイコンに触れると香りが流れる(写真/西田香織)

嗅覚は最後のフロンティア

 「消費者の五感に訴える『五感マーケティング』の重要性は、クライアント企業にソリューションを提案している凸版印刷としても十分認識しているが、嗅覚に訴える手段には限界があった」と、情報コミュニケーション事業本部ビジネスイノベーション推進本部新規事業開発部マーケティングチームの沼田徳樹課長は言う。香りは空間に広がり過ぎたり、時間がたっても残ったりするなど、音や光と違って瞬時に切り替える制御が難しい。アロマシューターは噴射機器の正面60cm以内だけに香りを送り、噴射を止めると、ほぼ即座に香りが消える。これにより、香りを使った新たなソリューションを提供できる可能性が出てきた。

 例えば、映像と香りを組み合わせた観光案内などの需要を見込んでいる。桜の名所の映像には桜をイメージする香り、お寺には線香と木の香りが混じったお寺の香りなどを組み合わせれば、より効果的なサイネージができる。VR(仮想現実)と組み合わせれば、より臨場感のあるゲームや映画ができる。ホテルでは、夜はリラックスできる香りと共に眠りにつき、朝はコーヒーの香りで目覚めるといった使い方も考えられる。空間全体に香りが広がらないので、隣で寝ている人には別の香りを設定でき、飛行機や長距離バスのような空間でも使用できそうだ。

 さらに、オフィス向けのサービスも展開する予定だ。コールセンターや長距離ドライバーなどストレスフルな職場では、ウエアラブル端末で体調をモニターし、緊張が高まった人にはリラックスする香りを、居眠り運転の恐れがあるときには目が覚める香りを送るといった使い方もできる。もちろん、店頭のPOPに組み込んで、コスメや食品のフレーバーを提供することもできる。ミニマムパッケージはアロマシューター本体1台とオリジナルの香り3種類、アプリケーションで100万円から。内容により金額は変動するという。

使用想定シーン。左上から時計回りに、店頭POPへの組み込み、コールセンターでのストレス低減、VRゴーグルとの組み合わせ、ホテルでリラックスして安眠
使用想定シーン。左上から時計回りに、店頭POPへの組み込み、コールセンターでのストレス低減、VRゴーグルとの組み合わせ、ホテルでリラックスして安眠
情報コミュニケーション事業本部ビジネスイノベーション推進本部新規事業開発部マーケティングチームの沼田徳樹課長(右)と宮田健一氏(写真/西田香織)
情報コミュニケーション事業本部ビジネスイノベーション推進本部新規事業開発部マーケティングチームの沼田徳樹課長(右)と宮田健一氏(写真/西田香織)

(写真/西田香織)

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