全国有数の木製家具の産地である北海道・旭川。120年以上の歴史を有し、高品質でデザイン性の高い製品を国内外の市場へ送り出してきた。

旭川デザインウィークのポスター。さまざまな考え方の集合体が1つのカタチになるという「individual(個人)+visual(視覚)」を北海道の象徴でもある「雪」で表した。クリエイティブディレクター:ミルデザイン 青木昭夫、アートディレクター:20パーセント やはずのよしゆき、デザイナー:20パーセント 森美弥子
旭川デザインウィークのポスター。さまざまな考え方の集合体が1つのカタチになるという「individual(個人)+visual(視覚)」を北海道の象徴でもある「雪」で表した。クリエイティブディレクター:ミルデザイン 青木昭夫、アートディレクター:20パーセント やはずのよしゆき、デザイナー:20パーセント 森美弥子

 旭川家具工業協同組合は40社の会員から成り、「旭川デザインウィーク(ADW)」の主催者でもある。デザインウィークの前身である「旭川家具産地展」は60回もの開催実績を持つ歴史のあるイベントで、61回目に当たる2015年から現在の名称に変更。同時に、業界関係者向けのイベントから、消費者に対しても産地の魅力を広く伝える催しへと生まれ変わった。

 今年のADWは6月20~24日に開催され、約1万6500人が来場した。旭川市内および周辺の町ではデザインセンターでのDAISY BALLOONスペシャルインスタレーション、旭川家具エキシビション、喜多俊之スペシャルトークイベント、建築家 宮脇檀没後20年展など多彩な内容の催しがあったが、その他に家具工場の現場を見学するオープンファクトリーも実施され、多くの人が参加した。

旅と食のデザインも

 今年のADWのコンセプトは「Indi-Visual(インディビジュアル)」である。これはindividual+visualの造語であり、「らしさをつくってみせる」ことを意味する。1社1社、一人ひとりが異なる「らしさ」を発信することであり、これが、1世紀余りの時間をかけて培われた旭川らしさとも言える。

 今回、クリエイトファニチャーが、鮮やかなネイビーブルーの民芸家具を出展した。こうした大胆な試みができるのが旭川であり、これまでにも多くの斬新な家具がこの地で誕生した。

 今回のADWで特筆すべきは、ADW×かみかわフードツーリズムという食の催しだ。かみかわフードツーリズムは北海道上川総合振興局が提唱しているもので、「デザインと食」を組み合わせ、北海道観光の可能性を広げる狙い。地元の人気シェフたちが、レストラン並みのフルコース料理も提供できるキッチン付きバス「クルーズキッチン」で旭川、上川地域の新鮮な食材を使った料理を提供した。

 クルーズキッチンは札幌の旅行企画会社クールスターが実現させたもので、各地を巡り地元食材を使った料理を楽しむという、新しい体験を提供する。今後、「旅と食のデザイン」によって新しい地方の楽しみ方が広がるに違いない。

メイン会場となった旭川デザインセンター
メイン会場となった旭川デザインセンター
ネイビーブルーを用いた民芸家具は、クリエイトファニチャーの北海家具シリーズ(写真:Taku Hatakeyama)
ネイビーブルーを用いた民芸家具は、クリエイトファニチャーの北海家具シリーズ(写真:Taku Hatakeyama)
「観光を食でイノベーション」をキーワードにしたキッチン付きバス「クルーズキッチン」も活躍
「観光を食でイノベーション」をキーワードにしたキッチン付きバス「クルーズキッチン」も活躍
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