6月18~20日の3日間開催されている「日経クロストレンドFORUM2018」。毎日異なるテーマが設けられており、2日目のテーマは「イノベーション」だった。その基調講演に、中国国内最大手のECサイトやモバイル決済サービスを展開する中国企業アリババグループの日本法人で、代表執行役員副社長を務める田中豊人氏が登壇。アリババグループのビジネスの実情と、日本企業とともにどんなビジネスを目指しているのかを語った。なお、日経クロストレンドFORUMは、6月20日は「ブランディング」をテーマに開催する。

「日経クロストレンド FORUM 2018」は6月18~20日に、赤坂インターシティコンファレンスで開催
「日経クロストレンド FORUM 2018」は6月18~20日に、赤坂インターシティコンファレンスで開催

事業領域を拡大し、売上高4兆円超へ

 アリババグループの創業は1999年。わずか20年弱のうちに、創業時から手がけるECサイトを軸とする「eコマース事業」に加え、旅行サイト「フリギー」、生鮮食品スーパー「盒馬(ファーマー)鮮生」、出前サービス「ウーラマ」といった、人々の生活を支える「ローカルサービス事業」、さらにゲームや映画の供給・配信といった「デジタルメディア&エンターテインメント事業」へと事業領域を拡大してきた。

 2017年度(2018年3月末)の売上高は4兆円超。株式時価総額は53.6兆円に達し、「日本で最大と言われるトヨタ自動車の約2倍。グローバルでもトップ10には入る」(田中氏)と語るように、株式市場からの評価も高い。今や中国はもちろん、世界の大企業へと成長している。

 アリババグループの急成長の鍵を握っているのが、「ビッグデータとそれを活用する力、つまりデータテクノロジーだ」と田中氏は言い切る。例えば、同社の主力事業であるeコマース事業のアクティブユーザー数は5.5億人。流通総額は82兆円に上る。「日本の小売市場総額は139兆円。アリババ1社でその半分以上の規模の商売をしている」と田中氏は語る。

 オンラインだけではない。先述したようにアリババではオフラインにも進出。生鮮食品スーパー「ファーマー」は中国国内で約50店舗を開業しており、「オンライン、オフラインの垣根を越えてショッピングが楽しめるようになっている」(田中氏)という。

アリペイ経由のデータが強力な資産に

 同グループのビッグデータが強力な効果を発揮する理由として田中氏は、これらの小売事業に加え、「アリペイ」というモバイル決済サービスを通して蓄積されるデータが活用できることを挙げる。アリペイはキャッシュレス決済に加え、公共料金の支払い、個人間の送金、資産管理、信用スコアといったさまざまな機能をユーザーに提供することで、「中国人の生活に欠かせない、スーパーアプリに成長した」と田中氏は言う。実際、アリペイは中国だけではなく韓国や東南アジアでもサービスを展開しており、既に6.2億人のユーザーがいる。つまりそれだけの人のさまざまな情報を、アリババグループは入手できるわけだ。

アリババ代表執行役員副社長 兼 アント フィナンシャル ジャパン代表執行役員COOの田中豊人氏
アリババ代表執行役員副社長 兼 アント フィナンシャル ジャパン代表執行役員COOの田中豊人氏

 ではアリババグループのビッグデータを活用すると、どんなことが可能になるのか。