連載「デジタル×マーケティングのウソ」でおなじみ、元西友、ドミノ・ピザ ジャパンCMO(チーフマーケティングオフィサー)の富永朋信氏が「日経クロストレンド FORUM 2018」3日目(6月20日10~13時)に短期集中セミナーを行います。「ブランド再構築」をテーマに、“マーケティングの鉄人”富永氏がワークショップ形式で直接指導。その狙いについて、富永氏に聞きました。

1992年大学卒業後、コダック社に入社。以来、日本コカ・コーラ、西友などマーケティング関連職務を7社で経験。うち、ソラーレホテルズアンドリゾーツ、西友、ドミノ・ピザ ジャパンでCMOを拝命。マーカスエバンス社CMOサミット議長(2017~)、日本マーケティング協会 CMOソサエティメンバー
1992年大学卒業後、コダック社に入社。以来、日本コカ・コーラ、西友などマーケティング関連職務を7社で経験。うち、ソラーレホテルズアンドリゾーツ、西友、ドミノ・ピザ ジャパンでCMOを拝命。マーカスエバンス社CMOサミット議長(2017~)、日本マーケティング協会 CMOソサエティメンバー

今回の「ブランド再構築」セミナーの狙いを教えてください。

経営やマーケティングがダイナミックな競争環境に対応しなければならない今、デジタルの分野では「アジャイルにPDCAを回す」「ABテストをバンバンやる」「フェイル・ファースト(早めに失敗せよ)」など、そういった状況に対応する型が出来上がってきていて、導入する企業も増えています。

 ところが、ブランディングはブランドを特定の要素に集約して定義を決め、それに沿ったことだけをやるという手法がそのまま活用され続けていて、進化していません。それによって、激変する競争環境との乖離が起きているんです。

 これまで「ブランディング=一度決めたブランドらしさと整合する製品開発・発信を続ける」とされてきました。そのため、企業が自社のブランドらしさを棚卸ししている例は聞いたことがありません。しかし実際には、戦う相手や市場環境が刻々と変化する中で、どういうポジショニングをとるべきかを常に認識し、そのブランドらしさをアップデートしていかないといけないのです。

 例えば、飛行機は何と競合しているかというと、同じ乗り物である新幹線だけでなく、日帰りするか1泊するかという意味ではホテルとも競合しています。また、マクドナルドは腹を満たすという意味では他のファストフード店がライバルですが、家族で楽しむエンターテインメントスポットと考えるとショッピングモールやレジャー施設も競合になります。

アジャイルにPDCAを回すようなブランディング手法ということですか。

そうです。ドミノ・ピザが他の宅配ピザ業者だけと戦っている間は今のブランディングで十分だったのですが、マクドナルドやセブン-イレブンと戦っていくとなると、この要素は邪魔じゃないかとか、逆にこの要素を追加したほうがいいといったことが出てくる。既存のブランディング手法だとこういう要素をあぶり出すことはあまりできません。しかし、ブランドを持っている側がこういう要素を常にアップデートしていかないと、ブランドを作る、守る、育てるということが難しくなっていきます。

ケビン・ケラーのピラミッドのようなブランド定義手法はあまり効果的ではないということでしょうか。

ブランドをある特定の要素に集約してそれぞれを定義するといった手法だと、効果は限定的だと思います。それを今でもやっている理由は2つあり、一つはそうしないと人間が知覚できないから、もうひとつは人々がそのブランドに対して持つイメージを細かく捕捉する手法がなかったからなんです。

 しかし今は、SNS上でドミノ・ピザと一緒につぶやかれている言葉は何か、それはどれくらいの頻度でつぶやかれているかをデータ化でき、それによってドミノ・ピザのブランドパーソナリティー、つまり“ドミノ・ピザらしさ”の全体像を定義できます。

 さらに、それぞれの言葉に対してポジネガ分析や文脈解析、自然言語解析による意味づけができるので、わざわざ特定の要素に集約しなくても、今そのブランドがどういうふうに見られているかをダイナミックに把握できる。そうすると、本来ブランドマネジャーが意図していないネガティブなイメージも抽出されるので、それに対してどういう方策を講じ、ブランドの全体像をどういう方向にもっていくかという議論ができるわけです。

 ドミノ・ピザとピザハットは同じ宅配ピザ業者ですから、非常に大雑把に言うと似たようなブランドイメージになりますよね。そこで差異化をしようとすると、その微妙な差異を大きくするにはどんな商品を開発するか、どんなコミュニケーションを行うかというふうに考え、マーケティング戦略やプランに落とし込んでいきます。

 しかし、これが対マクドナルド、対セブン-イレブンとなると、全く変わってしまう。そのときに、どうやってライバルと比較して差異を見いだすかという手法がすごく重要になります。今回のセミナーはワークショップを交え、その手法をみなさんと共有できればと思います。

どういう人が対象になりますか。

ライバルが刻々と変化していることを自覚しつつも、「他にどうしていいか分からない」という理由で既存のブランディング手法を使い続けているマーケターは多いのではないでしょうか。新ブランドのマネジャーに任命された方やリブランディングの必要性を感じている既存ブランド担当者、自社のブランドを客観的に分析したことがない経営者やブランド担当者にも参加していただければと思います。

「日経クロストレンド FORUM 2018」の3日目(6月20日)の「ブランド再構築」セミナーに、ぜひご参加ください。
富永朋信氏が直接指導
短期集中「ブランド再構築」セミナー開催!

 2018年6月20日、「日経 xTREND FORUM 2018」にて本連載の著者である富永朋信氏が講師を務める「ブランド再構築」セミナーを開催。自社ブランドの強みは? 本当の競合相手は誰? 顧客に選ばれるブランドになるには?――。 自社ブランドを客観的に分析したことがない方やブランドを新たに立ち上げる方、既存の商品・サービスのリブランディングを必要としている方を対象に、元西友、ドミノ・ピザ ジャパンCMOの富永朋信氏が御社のブランドを再構築する術をワークショップ方式で徹底指導します。

日時 6月20日(水) 10:00~13:00

受講料
通常価格:68,000円(税込)
早期割引:63,000円(税込)※5月31日(木)まで
読者価格:53,600円(税込)
読者早割:48,600円(税込)※5月31日(木)まで

会場 赤坂インターシティコンファレンス
(東京都港区赤坂1-8-1 赤坂インターシティAIR 3F・4F)

定員 40人(最小開催人数 10人)
※参加申込者が最小開催人数に達しない場合は、開催を中止させていただくことがあります。

本講座受講の方は、本講座開催日に限り、日経クロストレンド FORUM 2018内で開催される有料・無料セッションに参加できます。

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