アトレは2018年3月29日、JR土浦駅の新しい駅ビル「プレイアトレ土浦」をオープンした。旧駅ビルを業態転換したものだ。「プレイアトレ」は同社の駅ビルの新ブランドで、土浦はその第1号店である。同ブランドは、従来型のショッピングを主とした駅ビルからの脱却をテーマに、単にモノを売ることに留まらない「コト発信」「体験の提供」に軸を置いた。「モノ」はなるべく売らず、「コト」を売るのがコンセプトだ。

2018年3月29日、アトレは、JR土浦駅の新しい駅ビル「プレイアトレ土浦」をオープンした。旧駅ビルの「ペルチ土浦」を業態転換したものだ。「プレイアトレ」は同社の駅ビルの新ブランドで、土浦はその第1号店である。同ブランドは、従来型のショッピングを主とした駅ビルからの脱却をテーマに、単にモノを売ることにとどまらない「コト発信」「体験の提供」に軸を置いた。「モノ」はなるべく売らず、「コト」を売るというのがコンセプトだ。
「コト」のメインコンテンツはサイクリング。土浦駅は日本で2番目に広い湖、霞ヶ浦の湖畔近くに位置する。霞ヶ浦を1周し、さらに北西の筑波山方面に延びる全長180kmにも及ぶサイクリングロード「つくば霞ヶ浦りんりんロード」の起点になる。この地域は平坦で高低差が少なく、自転車には走りやすい。一方、マウンテンライドに挑戦したければ、筑波山がある。幹線道路を外れると自動車の交通量も少なく、そして風光明媚であり、サイクリングにはうってつけの環境が整っている。しかも、東京からは電車で最短49分。プレイアトレ土浦はサイクリングを楽しむための、いわば“ベースキャンプ”だ。
土浦でしか提供できないコンテンツに特化







プレイアトレ土浦の中核施設である「りんりんスクエア土浦」には、手ぶらで来てもサイクリングができるレンタサイクルはもとより、セキュリティー完備のシャワー、ロッカー、更衣室、駐輪場、修理・メンテナンス・洗車サービスも提供するサイクルショップ 、輪行車の組み立て、セルフメンテナンス用ワーキングスペースを完備した。施設内にはカフェ、コンビニエンスストア、ドラッグストアといったテナントも入居するが、自転車を押したまま入店し、買い物ができるのが特徴。カフェにはサイクリスト向けメニュー、コンビニ、ドラッグストアには、サイクリング時の栄養補給に適した携行食などをそろえたサイクリスト向けコーナーも用意している。
「この地域は車社会で、駅や鉄道を利用する人は車を持たない学生、高齢者に偏っていた」とアトレの藤本沢子・土浦店課長兼プロジェクトリーダーは言う。従来の物販型駅ビルでは、車で行く郊外型ショッピングセンターにはなかなか太刀打ちできない。さらに「つくばエクスプレス開業の影響も大きかった」(藤本プロジェクトリーダー)。2005年に開業したつくばエクスプレスは、沿線に多くの宅地や商業地、大規模なショッピングモールなどの開発が進み、土浦駅が所属するJR常磐線の地位はいっそう低下することになった。そこで、“モノを売る”という小売業の基本の土俵から降りて、土浦という場所でしか提供できない体験を売る“コト消費”に舵を切った。
サイクリスト向けホテルも開業予定


地下1階はサイクリスト向けのサービスをワンストップで提供するスペースとし、レンタサイクル、シャワー、ロッカー、更衣室、駐輪場などが利用できる。レンタサイクルは35台を用意し、スマホアプリを使い、無人で貸し出し・返却の解錠・施錠・決済ができる。5時から25時まで利用可能だ。1階にあるサイクルショップ「ル・サイク」では、一般車からハイエンドロードバイクまで、国内外メーカーの完成車約300台を取りそろえ、こちらでもレンタサイクルを用意している。ロードバイクやシティーサイクル、電動アシスト自転車など多彩な品ぞろえの25台が利用できる。
現在は第1弾のオープンとして、1階と地下1階の2フロアだけの展開だが、2018年11月には2階と3階の2フロア約500坪を使い、カフェやレストラン、クッキングスタジオなどを含む大型飲食店、2019年5月には、地元茨城の人気ショップを集めたフードコートを順次オープンする。2019年秋以降には5階までの全館を使ってサイクリスト向けホテルをオープンし、メンテナンスから宿泊機能まで、サイクリストのニーズを満たす国内最大級のサイクリングに特化した施設としてグランドオープンする予定だ。
(写真提供/アトレ)