世界のミレニアル世代は、今……。若者研究の第一人者である博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダーの原田曜平氏が、マーケティング・リサーチ会社のTNCと共同で海外の若者にインタビュー調査を行う本連載。前回に続き、世界のトレンド発信源となりつつあるオーストラリアの実情をレポートする。

積極的な移民政策によって若返りを図り、“未来の消費地”としてのポテンシャルが非常に高いオーストラリア。今回は、マーケットの話をもう少し深く掘り下げます。
実は、オーストラリア発のファストファッションブランドで大成功を収めているチェーンがあります。それが「Cotton On(コットン・オン)」です。衣服の他、靴を扱う「Rubi Shoes(ルビー・シューズ)」、文具を扱う「Typo(タイポ)」などの派生ブランドを展開。注目すべきは、マレーシアやシンガポール、香港、中国などアジア圏にも進出し、各国で人気を博していることです。
ヒットの背景の一つは、留学やワーキングホリデーなどでオーストラリアに滞在した人が、コットン・オンを知り、帰国後に母国で引き続き愛用したり、友人知人に広める流れができていること。すなわち、外国人の受け入れに寛容であることが、アジア圏のマーケットを切り開くことにも、存分に生かされています。これは、今後オーストラリアに進出する日系企業も利用できるメリットです。例えば、まずオーストラリアでファッションや食品などのブランドを流行らせてアジア進出への橋頭堡を築き、その後、他のアジア各国に進出。「オーストラリア発のブランド」の顔をして振る舞い、広くチェーン展開を図る。いわば“コットン・オン戦略”でアジアの若者を攻略するのです。

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