世界のミレニアル世代は、今……。若者研究の第一人者である博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダーの原田曜平氏が、マーケティング・リサーチ会社のTNC(http://www.tenace.co.jp/)と共同で海外の若者に現地インタビュー調査を行い、その生活実態や消費トレンドをつまびらかにする本連載。第1回目は2017年11月に訪れた米ロサンゼルス(LA)の報告。日本企業も生かせる優秀な学生の口説き方とは?

言わずと知れた映画の街、ハリウッドの風景。スターへの夢ある環境が、若者の生活意識にも好影響を及ぼしていた
言わずと知れた映画の街、ハリウッドの風景。スターへの夢ある環境が、若者の生活意識にも好影響を及ぼしていた

“チル化”とは無縁だったLAの若者たち

 今、世界の大都市に住む若者に顕著な共通項を挙げると、一つのキーワードが頭に浮かびます。それは日本をはじめ、米国、ヨーロッパなど、経済が成熟した国のどこの若者も“チル化”していること。「チル」とは、「落ち着く」という意味の英語“Chill out”が語源の若者言葉で、くつろいだり、まったりしたいときに「ちょっと今からカフェでチルってくる」などと使われます。つまり、成熟型社会の若者たちは、おしなべて居心地の良さや調和を求め、競争やお金を稼ぐこと、夢を追いかけることより、頑張らずにのんびり過ごす生き方を好むようになっている。中国の若者でさえ、今やチル化の道を急速に歩み始めているのが現状です。

 しかし、ロサンゼルス(LA)は違っていました。世界の先進国では珍しく、話を聞いた若者の多くが、大きな夢を語る街だったのです。例えば、ある女の子に職業を尋ねると「女優」と答え、名刺にも“actress”と書かれている。そこで作品を見せてというと、大学で自主制作した映画1本だけ。日本なら間違いなく「意識高い系」とバッシングを受けそうですが、そうやって夢を見る女の子をたたく風潮はありません。他にも多くの若者が、自分の夢を堂々と語るのを耳にしました。

 LAはなぜ、世界とは真逆に夢いっぱいの若者が多いのか。それは、「エンターテインメントの街」であることと無縁ではないでしょう。昨日まで無名だった若者がハリウッド映画に抜擢される、いわば映画の『ラ・ラ・ランド』の世界観を地で行くサクセスストーリーが、自分の周りで日常的に起こっているわけです。誰かが飛び抜けてスターになる成功談が身近にあると、成熟社会型の若者でも活力がみなぎるようになる好例。「最近の若者は元気がない」と嘆くより、成功体験を数多く生み出せるような場を作ることの大切さを痛感しました。

LAでは街の至る所で映画撮影が行われており、日常に夢ある光景が広がる
LAでは街の至る所で映画撮影が行われており、日常に夢ある光景が広がる
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