デジタル技術を駆使したものづくりが特長のアパレルスタートアップ、CFCL(東京・港)。公益性が高い企業に認められる「Bコープ」を国内アパレルで初めて取得し、注目を集める。設立3年目でパリ・ファッションウイークへのデビューを果たし、世界に向けてアピールする。
CFCL CEO(最高経営責任者)
――「CFCL(シーエフシーエル)」はどんなブランドですか。
高橋悠介氏(以下、高橋) 2020年に設立した、ニットウエア(以下、ニット)がメインのファッションブランドです。CFCLのニットはすべて、コンピュータープログラミングニットの技術で製作していて、その半数が3Dプリンターのように服の形で編み上がるシームレスな3Dコンピューター・ニッティングの製品です。
3Dコンピューター・ニッティングは「型紙に沿って生地を切り出し、縫製する」という布帛(ふはく、織物のこと)製品の工程がないことから、型紙や端布の消費を抑えられるのが特徴です。ニットの素材である糸にも、ペットボトルを原料にした国際認証を取得済みの再生ポリエステルを主に使用しています。
ブランド名の由来は、現代生活のための衣服という意味の「Clothing For Contemporary Life」。ブランド名に自分の名前を入れなかったのは、デザイナーのパーソナルな思いが入ることを避けたかったから。その時々の時代が求める服を作り、それを通じて世の中を良い方向に変えていきたかった。私は前職で、「服を作ることは社会をつくることにつながる」という考え方を学び、それが今の仕事にも生きています。
Bコープ取得への道のり
ファッション産業は、世界的に環境負荷の大きい産業です。製造にかかるエネルギー量が大きいことはもちろん、流行のサイクルの短さや、従業員の労働環境が整備されていないことなどが原因です。CFCLでは、これらの課題解決に向けたさまざまな取り組みを行っており、22年7月には日本のアパレルでは初となる「Bコープ(米国の非営利団体B Labが、公益性の高い企業に対して発行する国際的な認証制度)」を取得しました。グローバルな基準で自分たちの現状を正しく評価し、今後の経営にも生かしたいと考えたからです。
――Bコープは、認証取得が非常に厳しいことで有名です。認証されるには、どんな手順が必要なのでしょうか。
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