シロ(東京・港)が北海道砂川市で進めている「みんなのすながわプロジェクト」は、新工場と「ものづくりや子供たちの支援・観光」をテーマとする付帯施設からなる複合施設を市民と一体になって造るというもの。その中心人物である今井氏に聞いた。

今井浩恵氏(写真/名児耶 洋)
(写真/名児耶 洋)
今井 浩恵(いまい ひろえ)氏
シロ 代表取締役会長
北海道旭川市生まれ。1995年、文化女子大学室蘭短大卒。同年、ハーブ関連の生活雑貨を製造販売するローレル(北海道砂川市、現・シロ)に入社。2000年、社長に就任。化粧品事業を拡大し、自社ブランド「LAUREL」をスタート。19年にブランド名を「SHIRO」に変更。21年7月、会長に就任

――「みんなのすながわプロジェクト」は、どういう経緯で始まったのでしょうか。

今井浩恵氏(以下、今井) 創業の地である砂川市の現在の工場が手狭になり、移転・増設をする必要がありました。そこで現在の本社に近い千葉や埼玉で建設地を探していたのですが、どこを見ても気持ちが動かなかった。そんなときに、創業者である先代が砂川の江陽小学校跡地を購入していたことを思い出しました。せっかく砂川に土地があるのであれば、新工場をそこに造ろうと気持ちが動きました。SHIROというブランドは砂川で生まれ、砂川のおかげで大きくなることができた。その感謝の気持ちはずっと感じています。

――みんなのすながわプロジェクトでは、「世界中から人が集まり、誰もが感動体験を持ち帰ることのできる場所」づくりを目指していますが、プロジェクトでは単に新工場を建設するだけでなく、地域を活性化させるためのものにしようとお考えになったのはなぜですか。

今井 砂川市は人口がおよそ1万6000人しかいなくて、しかもどんどん減っているという現状があります。私たちは次の100年を見据えて新しい工場を造ろうとしていますが、街がなくなってしまっては、立派な工場だけがあってもそこで働く人がいなくなってしまう。であれば、工場を造るのに合わせて街づくりもしていこうと考えました。

グランドオープンはない、10年かけて造っていく

 そのためには何を造ればいいのか、どういう施設が必要なのかと考えたときに、シロという民間の一企業と、実際に砂川市に暮らす人の思いを一緒にしていくべきだと考えました。そこで、「どういうものが必要ですか」という問いをワークショップを通じて市民の皆さんに投げかけていった結果、ショップであったり、子供たちの居場所であったりといったものがまとまってきました。

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