2022年10月21日から30日まで東京・表参道を中心に開催されたデザイン展「DESIGNART Tokyo 2022」(主催はデザイナート、東京・港)の特別招待を受けて来日した、台湾デザイン研究院(Taiwan Design Research Institute、TDRI、台北市)院長の張基義(チャン・ジーイー)氏に、同院の役割や成果、今後の目標などを聞いた。デザイン行政を担う政府系機関の1つとして台湾のクリエイティブ産業の振興に加え、デザイン思考も活用して公共施設などのリニューアルも支援している。
台湾デザイン研究院 院長
――「DESIGNART Tokyo 2022」に参加した目的を教えてください。
張基義氏(以下、張) 台湾は社会的イノベーションを実現するための重要なファクターとして、デザインを位置付けています。人々の暮らしや教育、産業、農業など、さまざまな領域に優れたデザインが関わることで、社会全体を発展させようと考えています。
循環型社会へとつながる台湾デザインの潮流を日本の方々に広く知ってもらうキャンペーンを2020年秋にスタートさせており、DESIGNART Tokyo 2022への出展もその一環です。キャンペーンでは「社会を循環させる台湾のデザイン」というテーマを掲げ、サーキュラーエコノミーの考え方に基づいた、暮らしに取り入れられているプロダクトやソリューションを紹介しました。デザインの力が生み出す循環型社会のメリットを伝え、現在世界規模でひっ迫している課題へのソリューションやビジョンを共有したいと考えています。
DESIGNART Tokyo 2022では「the SP!RAL」と題し、サステナブル(持続可能)なものづくりを目指して実践する7組の台湾デザイン作品を出展しました。世界デザイン機構(WORLD DESIGN ORGANIZATION)の「World Design Impact Prize」を受賞した作品もラインアップしました。
産官学をデザインで結び付ける
――TDRIの概要を教えてください。
張 04年に台湾政府経済部(日本の経済産業省に相当)が、台湾におけるクリエイティブ産業の振興と、世界での競争力を高めることを目的に「台湾デザインセンター(TDC)」を設立しました。TDRIはそれを20年2月に改組、改称したものです。
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