「空間Xデジタルアート」が国際的な空間デザイン賞「Sky Design Award 2020」のビジュアル・グラフィック部門ショートリストに選出され、デザインの領域に踏み込むクリエイティブが高く評価されているメディアアーティストの木之内憲子氏。NFT(非代替性トークン)を使った作品の証明書発行に関するプロジェクトに取り組むほか、ネットワーク空間(メタバース)での応用も視野に入れる。
メディアアーティスト
近年、大手IT企業のプラットフォームサービスの発展を担った「Web2.0」に続き、ブロックチェーン技術を基盤に拡大する「Web3.0」。NFTを活用した「NFTアート」は偽造や改ざんが難しいことから、投機目的で出品された作品の高額取引などが話題となった。AR・VR(拡張現実・仮想現実)技術を使った「メタバース」のビジネスも拡大している。
「例えば絵画などのアナログの作品とはそれほど関係がないかもしれないが、Web2.0に対し、Web3.0には比較にならないくらい広大な空間が広がっている」と木之内憲子氏は言う。「大学の講義で若い学生と接していると、VRファッションがはやっているとよく聞く」(木之内氏)。メタバースが進展すると、AR・VRとリアルが想像もつかない形で融合しそうだと木之内氏は考えている。
木之内氏は、グラフィック作品のデジタルデータをインテリアに投映した作風で注目を集める。店舗やオフィス空間などで展開する「空間Xデジタルアート」ではプロジェクターなどで投映、原画のデータをカッティングシートで切り抜いて貼ることも。壁面や床面、建材や什器(じゅうき)の素材と組み合わせて、「触感のあるデジタル作品」が完成する。
映像で情報を発信するデジタルサイネージとも類似するが、文字ではなくビジュアルイメージでブランド価値の増幅を狙う。「著作権の問題もからむが、作品を自由に使えるオープンソースの仕組みは、メタバースでも付加価値を生むのではないか」(木之内氏)。木之内氏のHPではWeb会議の背景用画像を無料配布し、Web上での露出を増やす。
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