乳幼児向けインクルーシブブランド「IKOU」を立ち上げ、2022年4月、IDEO Tokyo(東京・港)との共同開発で「IKOU ポータブルチェア」を発売したHalu(京都市)代表取締役の松本友理氏。障害の有無にかかわらず使えるブランドのあり方や商品開発について聞いた。

松本 友理(まつもと ゆり)氏
Halu代表取締役
2007年大学卒業後トヨタ自動車入社。本社でプロダクトマネージャーとして商品企画やコーポレート価格戦略を担当。16年に誕生した長男に脳性まひによる運動機能障害が判明。19年トヨタ自動車退職。20年Halu(京都市)設立

──ブランド立ち上げや起業の経緯は?

松本友理氏(以下、松本) 障害を持つ息子を育てる中で、プロダクトを生み出したいという気持ちが募り、トヨタ自動車時代の先輩であるIDEO Tokyoの野々村健一さんに相談したのがきっかけです。使い手や作り手の気持ちを重視する人間中心プロダクトのパイオニアのIDEOなら、自分が抱えていた課題意識に共感してもらえると考えたのがその理由です。相談の時点では、ブランドの立ち上げや起業は考えておらず、思いをどのように形にするかなどのアドバイスをもらえたらと思っていました。その後IDEO Tokyoのデザイナーらへのプレゼンを経て、2019年に共同開発プロジェクトとしてスタートしました。

──なぜプロダクトをつくりたいと思っていたのでしょうか?

松本 トヨタ時代は商品企画を担当していましたし、入社の動機もものづくりで社会により良いインパクトを与えたいという思いがあったから。自分の強みはものづくりで、そこに障害児の母という当事者としての視点や気づきを掛け合わせることで、これまでにないプロダクトをつくることができると考えていました。

この記事は会員限定(無料)です。

有料会員になると全記事をお読みいただけるのはもちろん
  • ①2000以上の先進事例を探せるデータベース
  • ②未来の出来事を把握し消費を予測「未来消費カレンダー」
  • ③日経トレンディ、日経デザイン最新号もデジタルで読める
  • ④スキルアップに役立つ最新動画セミナー
ほか、使えるサービスが盛りだくさんです。<有料会員の詳細はこちら>
7
この記事をいいね!する