木工メーカー薗部産業(神奈川県小田原市)は、オリジナルの「めいぼく椀」シリーズで「ウレタン塗装のお椀」という市場を開拓。手入れが容易で洋食にも合う丸みのあるデザインが受け、現在は海外からの注文も増え続けている。同社のプロダクトデザイナー、薗部弘太郎氏に、開発の経緯や売れ行きについて聞いた。
薗部産業 プロダクトデザイナー
――「めいぼく椀」シリーズは、2021年度のグッドデザイン・ロングライフデザイン賞を受賞しました。現在のラインアップや売れ行きなど教えてください。
薗部弘太郎氏(以下、薗部) 「めいぼく椀」シリーズの誕生は1996年。サクラ、ケヤキ、ブナ、クリ、クルミ、ナラの6種類の木から作るお椀で、木目を生かすためにウレタン塗装で仕上げています。和食でも洋食でも使える丸みのある形が特徴で、神奈川県工芸指導所の故・蒔苗滋氏がデザインを担当しました。現在のラインアップは、サイズ違いも含めると43種類。めいぼく椀シリーズの売り上げが、薗部産業全体の8割ほどを占めています。そのうち約1割が、海外での売り上げです。特に好調なのが、韓国。米国や中国、台湾、香港、英国、イスラエルなどでも売られています。
――海外での販売のきっかけは。
薗部 新型コロナウイルス感染症の流行が始まった2020年2月、“こんまり”こと近藤麻理恵さんの米国向けオンラインショップの方から問い合わせがあり、「めいぼく椀」をはじめ、木製のしゃもじや小型の棚などの取り扱いが始まりました。それまで海外での販売実績はゼロだったのですが、こんまりさんのサイトでの販売以降、世界中から問い合わせが来るようになりました。
――コロナ禍の中で海外での販路が拡大したのですね。
薗部 その代わり、国内の百貨店からの注文が入らなくなりました。海外での売り上げのおかげで、20年度は前年並みをキープすることができました。ありがたいことに、海外からの注文は今も増えています。ただ、職人が手作業で作っているので大量生産ができず、常に数千個単位で納品待ちの状態が続いています。
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