デザイン会社のコンセント(東京・渋谷)は「コンセントデザインスクール」を開校。「デザインでひらき、デザインをひらく」をミッションとして掲げているという。「2020年代は“Design by People”の時代」と話す、社長の長谷川敦士氏に聞いた。
コンセント社長 インフォメーションアーキテクト
――2021年9月に開校したデザインスクールについて教えてください。
長谷川敦士氏(以下、長谷川) コンセントデザインスクールは毎月1回の約2時間のプログラムで、オンラインで開催しています。各回のテーマごとに参加できるようにしており、9月は基調講演として私が「2020年代のデザインとは?Design by Peopleの時代へ」をテーマに話しました。その後は社内のデザイナーやディレクターなどが講師となり、10月は「ユーザーを知るためのインタビュー調査入門」、11月は「可能性をひらくインクルーシブデザイン」、12月は「UXとUIのつなぎかた」をテーマにしました。プログラムの内容を「基本知識(Light)」「実践力(Regular)」「包括的概念(Bold)」といった3つのカテゴリーに分けており、受講者のニーズに応じたテーマだけを学ぶことができます。毎回数十人が受講し、一般企業のイノベーション担当部門や新規事業部門といったデザイン経営に関心を示すビジネスパーソンだけでなく、デザイナーの皆さんもいます。22年1月には「ビジネスを加速するためのウェブサイト運営戦略」というテーマで実施する予定です。
デザインリサーチでマーケティング
――なぜ開校したのでしょうか。
長谷川 もともとは17年から当社内の研修プログラムとしてボトムアップ的に始まった活動が母体でした。自分たちがこれまで手がけてきたサービスデザインやUX(ユーザーエクスペリエンス)デザインといった知見を、社員のデザイナーたちが社内で共有しようと考えたことがきっかけです。デザイナーに求められる領域が広がってきているからです。
一方でビジネスパーソンにとっても、デザインは身近なものになってきています。18年5月に経済産業省・特許庁による「デザイン経営」の宣言もあり、ビジネス分野でのデザインの重要性が高まってきています。当社がクライアント企業とデザインプロジェクトを実践するときは、デザインのノウハウを教えるクライアント向けの研修も行ってきました。
今回のデザインスクールの開校に先立ち「ウェブデザイン」「コンテンツ戦略」「プロジェクトデザイン」をテーマに3つのトライアルプログラムを6月に実施したところ、多くのビジネスパーソンが参加するなどデザインを学ぶことへのニーズが大きいことも改めて分かりました。参加者のアンケートを見ると、デザインの知見や思考プロセスが、さまざまなビジネスシーンで求められていました。
この記事は会員限定(無料)です。