独アディダスは「パーパス」をベースに、プラスチック削減に注力する。パーパス起点のコンサルティングを行うSMO(東京・港)の齊藤三希子代表取締役が、アディダス ジャパン(東京・港)のトーマス・サイラー副社長に、その実践について聞いた。
アディダス ジャパン 副社長 アディダスマーケティング事業本部長
SMO(エスエムオー)代表取締役
齊藤三希子氏(以下、齊藤) アディダスには、「スポーツを通して、私たちには人々の人生を変える力があります」という素晴らしいパーパスがあります。リーダーとして、日々の仕事でどのように活用されているのでしょうか。
トーマス・サイラー氏(以下、サイラー) 大切なのは「私たちは人の人生を、どうやって変えていきたいのか」という実践で、その方法は「人」と「地球」という2つの側面から考えています。まず人については、アディダスは以前から、ダイバーシティー、エクイティ&インクルージョンの取り組みを進めています。新たな戦略として加えたのは、消費者だけでなく、アディダスで働く従業員との関係性を深めていくこと。従業員には、長く働いてほしいと思っています。
地球については、スポーツを通して人々の人生を変えるためにも、地球がよりよい場所になるようにサステナビリティーを実現すべきだと考えています。具体的には、サステナビリティーへのコミットメント「END PLASTIC WASTE」を掲げ、2015年6月には海洋環境保護団体パーレイ・フォー・ジ・オーシャンズと共に、海洋プラスチックごみを再利用したコンセプトシューズを生産することを国連本部で発表しました。24年までには、すべての製品でバージンポリエステルを廃止し、リサイクルポリエステルを100%使用する計画です。
齊藤 力強い計画ですね。ファンが多い「スタンスミス」の定番品も、リサイクル素材に切り替えましたね。
サイラー アディダスのサステナブルな活動を伝えていくためにも、まずは一番売れているスタンスミスから実践しました。当初、そのアイデアを取引先などに説明したら、スタンスミスは革のシューズの代表格でもあり、ファンに理解してもらえるか心配する声もあったんですよ。
齊藤 そういう場面で、パーパスが支えてくれたのでは?
サイラー そうです。パーパスを実現することが、最終的にはお客様のためになると信じていたので、スタンスミスをサステナブル仕様にして売りたいという思いを貫くことができたんです。
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