「2020年度グッドデザイン大賞」(公益財団法人日本デザイン振興会主催)を受賞したのは、WOTA(ウォータ、東京・文京)が開発した「WOTA BOX」だった。これは独自のセンサーやAI(人工知能)を活用し、生活用水を循環して再利用できる小型の水処理システム。災害現場など水道が使えないときのシャワーや手洗い、洗濯などに使える。今後はレジャーやイベント用の他、家庭やオフィス市場も目指す。狙うのは水処理の“民主化”だ。社長の前田瑶介氏に、開発やデザインに対する考え方を聞いた。

「WOTA BOXの外観デザインはどうあるべきかと議論を重ねた結果、“WOTAホワイト”という色まで作り上げた」と話すWOTA社長の前田瑶介氏
「WOTA BOXの外観デザインはどうあるべきかと議論を重ねた結果、“WOTAホワイト”という色まで作り上げた」と話すWOTA社長の前田瑶介氏

WOTA BOXを開発した経緯を教えてください。

これまで都市インフラを研究してきましたが、東日本大震災の体験から水インフラの重要性に関心を持つようになりました。水道がない地域でも、きれいな水を使えるようにしたい。そんな思いが、WOTA BOXを開発した理由です。水を再生処理するだけなら以前からさまざまな技術がありますが、当社の新規性は独自に開発した自律制御技術。大規模施設が必要だったシステムが安価になって小型化ができる。持ち運びが可能になり、どこでも水を得ることができるようになります。

 WOTA BOXはいわば小型の水処理施設ともいえる装置です。独自のセンサー技術とAIによる機械学習の機能を組み合わせて水質を詳細に分析し、その結果からフィルターにかける水圧などを自動的に調整したり、塩素や紫外線で殺菌したりすることで、排水の98%以上を再利用できるようにします。水質は時間がたつにつれて変わるため、状況を分析してすぐに必要な処理をする必要があります。そこで大規模施設のように専門家がいなくても済むよう、運用管理の自動化を徹底できる仕組みを考えました。

 2016年の熊本地震の被災地にシャワー用システムとしてWOTA BOXの試作機を持ち込んだところ大好評でした。その後も豪雨や地震などに見舞われた地域に試作機を運び、支援を続けました。

被災地にシャワー用テントを張った風景。WOTA BOXに連動するシャワー用テントは15分で設営可能。装置もボタンを押すだけですぐに使える
被災地にシャワー用テントを張った風景。WOTA BOXに連動するシャワー用テントは15分で設営可能。装置もボタンを押すだけですぐに使える

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