スマホに特化した縦型動画配信サービス「smash.」を2020年10月にローンチしたSHOWROOM(東京・渋谷)。“プロクオリティー”を特徴とし、自由投稿型の「TikTok」などと差別化を図るが、動画配信サービスはまさにレッドオーシャン。サービス投入の狙いと勝算をSHOWROOM社長の前田裕二氏に聞いた。

前田 裕二 氏
SHOWROOM社長
2010年に早稲田大学政治経済学部を卒業後、UBS証券を経て、13年にディー・エヌ・エーに入社。ライブ配信プラットフォーム「SHOWROOM」を立ち上げる。15年に同事業をスピンオフしてSHOWROOMを設立し社長に。17年6月には初の著書『人生の勝算』(幻冬舎)を出版しベストセラーに、18年発行の著書『メモの魔力』(幻冬舎)は66万部の大ヒットを記録

 ライブ配信プラットフォーム「SHOWROOM(ショールーム)」を運営するSHOWROOM。著名人・芸能人だけでなく、プロアマ問わず誰でもスマホ1つでライブ配信ができ、多くの熱狂を生み出している。2020年には会員数が400万人を突破。多くの人気配信者も生まれている。そんな中、20年10月22日にバーティカルシアターアプリを銘打つ「smash.」をローンチ。月額550円(税込み)のサブスクモデルで、スマホに特化した5~10 分程度の縦型短尺映像コンテンツを、音楽やドラマ、アニメ、バラエティーなど幅広いジャンルで展開する。なぜ今、短尺動画なのか、「Netflix」「Hulu」「Amazonプライムビデオ」など競合がひしめくサブスク動画配信サービス市場でいかに戦うか、SHOWROOM社長の前田裕二氏に真意を聞いた。

スマホでの視聴に特化した、プロクオリティーの縦型短尺映像コンテンツを配信。音楽、ドラマ、アニメ、バラエティーなど、幅広いジャンルで展開する。ジャニーズ事務所や音楽プロデューサーの秋元 康氏をはじめ、大手芸能事務所、大手制作会社の協力の下、2021年3月末までに、2600本のコンテンツ提供を予定している。サービス利用料は月額550円(税込み)。21年3月末までの加入で、入会後3カ月無料になるキャンペーンを実施中
スマホでの視聴に特化した、プロクオリティーの縦型短尺映像コンテンツを配信。音楽、ドラマ、アニメ、バラエティーなど、幅広いジャンルで展開する。ジャニーズ事務所や音楽プロデューサーの秋元 康氏をはじめ、大手芸能事務所、大手制作会社の協力の下、2021年3月末までに、2600本のコンテンツ提供を予定している。サービス利用料は月額550円(税込み)。21年3月末までの加入で、入会後3カ月無料になるキャンペーンを実施中

異色の「プロクオリティー縦型短尺映像」にかける思いと狙いとは

なぜ今、スマホに特化した縦型動画配信サービスアプリ「smash.」に力を入れるのか。

16年12月に出合った1つの動画がきっかけになっています。never young beachの「お別れの歌」のMV(ミュージックビデオ)。スマホで撮影した縦型の動画で、スマホで見ることに特化した動画作品の存在に衝撃を受けました。スマホがこれだけ普及しているのに、なぜこのような動画があまり出てこないのか、引っかかっていました。

 そこから本格的にスマホでの視聴に特化したプラットフォームをつくろうと動き出したのが、2年ほど前。既存事業であるSHOWROOMの成長に今後キャップが来るだろうという仮説を立てたタイミングです。

 SHOWROOMは、誰でも生配信が可能な双方向コミュニケーションの仮想ライブ空間であり、有名なアーティストやアイドル、タレントなどだけでなく、いわゆる“普通の人”も含めてライバー(配信者)になることができ、様々な夢を実現できる場になっています。ファンは有料ギフトを贈ることで応援が可能で、人気ライバーの中には、月の収益が数百万から1000万円を超える人もいます。

 ファンビジネスについて、縦軸をコミュニケーションの密度や親しみやすさで取り、横軸をファンの人数で見た4象限(下の図)で表すと、人気ライバーの多くは「B」の領域に位置します。この図で見ると、上に行くほど偶像性が高く、下に行くほど身近な存在になります。一般的に人気タレントは偶像性が高く、ファンが多い「C」の象限に当てはまります。

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