スマホに特化した縦型動画配信サービス「smash.」を2020年10月にローンチしたSHOWROOM(東京・渋谷)。“プロクオリティー”を特徴とし、自由投稿型の「TikTok」などと差別化を図るが、動画配信サービスはまさにレッドオーシャン。サービス投入の狙いと勝算をSHOWROOM社長の前田裕二氏に聞いた。
SHOWROOM社長
ライブ配信プラットフォーム「SHOWROOM(ショールーム)」を運営するSHOWROOM。著名人・芸能人だけでなく、プロアマ問わず誰でもスマホ1つでライブ配信ができ、多くの熱狂を生み出している。2020年には会員数が400万人を突破。多くの人気配信者も生まれている。そんな中、20年10月22日にバーティカルシアターアプリを銘打つ「smash.」をローンチ。月額550円(税込み)のサブスクモデルで、スマホに特化した5~10 分程度の縦型短尺映像コンテンツを、音楽やドラマ、アニメ、バラエティーなど幅広いジャンルで展開する。なぜ今、短尺動画なのか、「Netflix」「Hulu」「Amazonプライムビデオ」など競合がひしめくサブスク動画配信サービス市場でいかに戦うか、SHOWROOM社長の前田裕二氏に真意を聞いた。
異色の「プロクオリティー縦型短尺映像」にかける思いと狙いとは
なぜ今、スマホに特化した縦型動画配信サービスアプリ「smash.」に力を入れるのか。
16年12月に出合った1つの動画がきっかけになっています。never young beachの「お別れの歌」のMV(ミュージックビデオ)。スマホで撮影した縦型の動画で、スマホで見ることに特化した動画作品の存在に衝撃を受けました。スマホがこれだけ普及しているのに、なぜこのような動画があまり出てこないのか、引っかかっていました。
そこから本格的にスマホでの視聴に特化したプラットフォームをつくろうと動き出したのが、2年ほど前。既存事業であるSHOWROOMの成長に今後キャップが来るだろうという仮説を立てたタイミングです。
SHOWROOMは、誰でも生配信が可能な双方向コミュニケーションの仮想ライブ空間であり、有名なアーティストやアイドル、タレントなどだけでなく、いわゆる“普通の人”も含めてライバー(配信者)になることができ、様々な夢を実現できる場になっています。ファンは有料ギフトを贈ることで応援が可能で、人気ライバーの中には、月の収益が数百万から1000万円を超える人もいます。
ファンビジネスについて、縦軸をコミュニケーションの密度や親しみやすさで取り、横軸をファンの人数で見た4象限(下の図)で表すと、人気ライバーの多くは「B」の領域に位置します。この図で見ると、上に行くほど偶像性が高く、下に行くほど身近な存在になります。一般的に人気タレントは偶像性が高く、ファンが多い「C」の象限に当てはまります。
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