スキル売買サービス「ココナラ」が好調だ。1年間で会員数は1.5倍に増加した。ここ最近では特にビジネス利用が急拡大しているという。大手企業がデジタルマーケティングに活用するケースも出ている。そうした最中、2020年9月にココナラ(東京・渋谷)創業者の南章行氏が会長となり、鈴木歩氏が新社長に就いた。鈴木氏が社長就任後初のインタビューに応じ、拡大するビジネス利用の強化策やニーズの変化を語った。

鈴木歩氏
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鈴木 歩(すずき あゆむ)氏
ココナラ 代表取締役社長
早稲田大学法学部を卒業後、リクルートに入社。HR(ヒューマンリソース)、ブライダル領域での商品企画・営業、アドテクノロジー新規事業での事業開発を経験。その後、リクルートホールディングスの海外経営企画として、グローバル・ガバナンス・組織体制検討、海外リサーチ、海外グループ会社サポートなどを担当。16年5月よりココナラに参画。20年9月より現職

新型コロナウイルス感染症拡大や政府の副業支援など、スキルシェアには追い風が吹いている。ココナラの利用者や利用方法にどのような変化が出ているのか。

まず、会員登録数はこの半年で1.3倍に増えた。会員は出品者と購入者の合計だ。半年でそれぐらい伸びることは珍しい。もう少し長いスパンで見れば、19年から20年4月の1年で1.5倍になった。新型コロナウイルス感染症拡大後はスキルの出品が先行して増加。特に緊急事態宣言が発令された4~5月に急増し、出そろったあとの5月ぐらいから今度は購入者が増え始めた。直近では20年8月にテレビCMを大量に投下したので、その影響が大きい。

 大きな変化ではビジネス利用が拡大している。サービス開始当初はワンコインで依頼できるCtoC(消費者間取引)サービスをうたう少額マッチングサービスだったが、販売価格を自由に決められるようにしたり、機能をリッチにしたりするなかで、スモールビジネス支援が少しずつ出始めた。例えば、飲食店の開業支援やWebサイト制作、ロゴ制作、チラシ制作などだ。それらをワンパッケージにしてココナラでやりたいという企業や個人が増えている。全体の半数弱がビジネス利用になった。

 コロナ禍でその傾向はより進んだ。出品されるスキルではWebサイト制作や、デジタルマーケティングのためのコンサルティングが増えた。リアル店舗で商売していた企業が外出自粛などの影響でリアルだけでは立ち行かなくなり、Webサイト制作や動画を活用したプロモーションの需要が増えているからだ。例えば、創業50年の老舗企業が新型コロナショックを機に、ココナラを使ってWebサイトを制作した。

 19年に法人専用アカウントをつくれる機能を加えた。また、請求書払いへの対応や、複数の部署や担当者が使えるように複数アカウントの開設を可能にするなど、エンタープライズ向けの機能を充実させたことで大企業も使い始めている。

 一方、出品者はそれを本業にしているフリーランスの人などが中心だったが、在宅勤務が中心になったことでスキルを売る副業者も増えている。

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