“ポストスマホ”とも呼ばれる「AR(拡張現実)グラス」。エンタメやスポーツなど、さまざまな領域で対応サービスの実証実験が進む。コロナ禍で「密」を避ける接客が求められる中、「AR×ファッション」のサービスを開発したMESON(東京・渋⾕)とサイバーエージェントのキーパーソンに狙いを聞いた。

<写真中央>梶谷健人氏。MESON CEO。ARを中心としたXRサービスの開発をさまざまな企業と展開。著書に『いちばんやさしいグロースハックの教本』(インプレス)。 <写真右端>芦田直毅氏。CyberHuman Productions取締役。13年サイバーエージェント入社。プランナーを経て、17年に3DCG動画広告制作に特化したCGチェンジャーを設立して代表に。19年より現職 <写真左端>中橋敦氏。サイバーエージェント クリエイティブディレクター。18年より現職。デジタルとフィジカルの融合をテーマに、数々のクリエーティブ制作を手掛ける。16年からデジタルハリウッド大学・大学院准教授
<写真中央>梶谷健人氏。MESON CEO。ARを中心としたXRサービスの開発をさまざまな企業と展開。著書に『いちばんやさしいグロースハックの教本』(インプレス)。 <写真右端>芦田直毅氏。CyberHuman Productions取締役。13年サイバーエージェント入社。プランナーを経て、17年に3DCG動画広告制作に特化したCGチェンジャーを設立して代表に。19年より現職 <写真左端>中橋敦氏。サイバーエージェント クリエイティブディレクター。18年より現職。デジタルとフィジカルの融合をテーマに、数々のクリエーティブ制作を手掛ける。16年からデジタルハリウッド大学・大学院准教授

 目の前のリアルな空間に、さまざまな情報やオブジェクトが浮かび上がる「AR(拡張現実)グラス」。次世代通信規格「5G」の高速大容量・低遅延などのメリットを生かせる“ポストスマホ”として開発競争が激化している。例えば、米フェイスブックはARグラスの開発プロジェクト「Project Aria」を公開し、開発を加速している。米アップルも製品化を進めているとみられ、早ければ21年にも登場する可能性があると噂される。

 この2大巨頭のARグラスはまだ先だが、実は既に実用域に達しているグラスもある。一般向けで有力なのが、中国エンリアルの「NrealLight」。

中国エンリアルのNrealLight。一見すると普通のサングラス。スマホか外付けの専用ユニットをつないで利用する
中国エンリアルのNrealLight。一見すると普通のサングラス。スマホか外付けの専用ユニットをつないで利用する

 スマホと接続して使うのが特徴で、メガネ部分は約88gと超軽量。一見、普通のサングラスだと思えるほど、装着時に違和感がない。既に韓国では6万円強で発売され、日本でも早ければ20年内に投入される可能性がある。国内ではエンリアルはKDDIと提携。NrealLightを活用したサービスの開発が、続々と進められている。ARグラスが生活をどう変える可能性があるのか、ARグラスでECを拡張させるサービス「PORTAL with Nreal」を開発する、MESON CEO(最高経営責任者)の梶谷健人氏、CyberHuman Productions(東京・渋谷)取締役の芦田直毅氏、サイバーエージェントのクリエイティブディレクター中橋敦氏に、ARの現在地と今後を聞いた。

家がそのままブランド店舗になる新買い物体感

――コロナ禍でECの存在感が急速に増しています。AR技術を駆使する「PORTAL with Nreal」は、どのようにECを進化させるものでしょうか。

MESON CEO 梶谷健人氏(以下、梶谷氏) このサービスは、「家の店舗化」をテーマに開発しました。NrealLightをかけると、自分の部屋にさまざまな装飾やオブジェクトが登場し、ブランドの世界観を空間丸ごと再現。目の前にモデルが現れ、好きなアイテムをあらゆる角度から見ることができます。実際に歩いて近づいたり、裏に回ったりできるのがARならでは。さらに、そのまま商品をカートに入れ、購入まで完了する仕組みです。

グラスをかけると、目の前にミニチュアのモデルが登場し、選択すると等身大のモデルが部屋の中に現れる。スマホを向けて空中にあるポインターを操作
グラスをかけると、目の前にミニチュアのモデルが登場し、選択すると等身大のモデルが部屋の中に現れる。スマホを向けて空中にあるポインターを操作
商品を選択し、カートに入れてそのまま購入することも想定
商品を選択し、カートに入れてそのまま購入することも想定

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