EC支援事業のBASEは2020年10月16日、サービスのオンライン販売プラットフォームを提供するMOSH(東京・目黒)への出資を発表した。BASEにとって他社への出資は初。MOSHはこの半年間で出店数、GMV(流通取引総額)が共に3倍に増加するなど急成長を遂げている。出資の理由や提携で見込むシナジー効果などについて、BASEの鶴岡裕太社長とMOSHの籔和弥社長に聞いた。

MOSH(東京・目黒)の籔和弥社長(左)、BASEの鶴岡裕太社長(右)
MOSH(東京・目黒)の籔和弥社長(左)、BASEの鶴岡裕太社長(右)

 BASEはこれまで物販に特化したECサイト構築サービスとして成長してきた。出店数は120万を超えるなど、ECのプラットフォームとしての存在感が高まっている。出店数が拡大するにつれ、ユーザー主導で想定しなかった商材が出品されるようになった。その1つがサービスだ。サービスとはヨガのレッスンやスポーツインストラクター、フィットネスのコーチなどを指す。ただ、先述した通りBASEは物販に特化しているため、例えばレッスンの予約機能などがなく、サービス販売に向いているとは言い難い。そこで、顕在化するサービス販売のニーズを捉えるため、サービスECの急成長企業であるMOSHへの出資を決めた。

 出資先のMOSHはサービス特化のECサイト構築サービスだ。個人の持つスキルを生かしたサービスを販売するECサイトを、初期費用無料で簡単に構築できる。200種類以上のサービスがMOSHで販売され、中には月間800万円超を稼ぐ出店者もいるという。

 新型コロナウイルス感染症拡大以降、接触を避けるため、これまでリアルで実施してきたサービスのオンライン化が進んだ。MOSHはいち早くオンライン会議システム「Zoom」を使い、課金制のオンラインレッスンの仕組みを開発。出店者がオンラインでサービスを提供できる環境を提供した。これまでのようなリアルでの事業展開が難しくなる中、稼ぐ場を失った事業者のオンライン進出が進み、出店数は半年間で3倍の1万5000店に増加。出店者と利用者の増加により、GMVは3倍と急増した。BASEはMOSHと組むことで、物販とサービス両方の総取りを狙う。

個人のスキルを生かしたサービスを販売できるプラットフォームのMOSHは、半年間で出店数とGMV(流通取引総額)が3倍と急増した
個人のスキルを生かしたサービスを販売できるプラットフォームのMOSHは、半年間で出店数とGMV(流通取引総額)が3倍と急増した

BASEはサービスのECを自社開発せずに、MOSHと組もうと考えたのはなぜか。

BASE社長の鶴岡 裕太氏(以下、鶴岡) BASEは物販のECプラットフォームとしてのマーケティングしかしてこなかったにもかかわらず、ユーザー主導で新たなニーズが広がっている。例えば、新型コロナウイルス感染症拡大以降、飲食店が料理をミールキットにして販売したい、テークアウト商品をBASEで販売したいというニーズが出てきた。そこに対して、後から機能開発することで、ニーズに対応してきた。

BASEは2020年6月25日から、テークアウト商品を販売できる機能を開始。主に飲食店の活用が進む
BASEは2020年6月25日から、テークアウト商品を販売できる機能を開始。主に飲食店の活用が進む

 そんな中、BASEを使い、サービスを販売している出店者が現れている。ただサービスを販売する場合は日時の予約機能などが必要だが、BASEにはその機能がない。BASEでサービスを売るには機能が不十分で向いていない。

 もちろん予約機能を自社開発しようと思えばできるかもしれないが、ブランドが分散してしまう恐れがある。世界を見ても、ワンブランドで包括的なサービスを提供した成功例は少ない。BASEは物販に振り切らなければ、世界に通用するプラットフォームにはならないと考えている。物販EC需要の高まりを受けて当社も成長しているが、ここで力を緩めるとECマーケットで存在感を示せない。自社では全てのリソースを物販ECに投下したいと考えている。

 そのときにMOSHから出資を募るという話をもらったので、サービス領域を強化する上でぜひ投資したいと考えた。インターネットの登場で、個人や小規模事業者が世の中で活躍しやすくなってきた。これまでは大企業のマスプロダクトが消費の中心だったが、10~20年後には個人や小規模事業者が商売の主役になると考えている。物販、サービスに関係なく、今よりも市場ははるかに大きなものになっていくはずだ。

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