NTTドコモのシェアサイクル事業を引き継ぎ、2015年に子会社として創業したドコモ・バイクシェア(東京・港)。11年度に年間4万回だった利用回数は、19年度には年間1200万回まで増加。事業拡大に伴い、20年6月にリリースした新しいアプリも好評だ。社長の堀清敬氏とプロジェクトを総合プロデュースした久下玄氏に、新アプリの狙いを聞いた。
ドコモ・バイクシェア 社長
tsug代表、デザイナー、エンジニア
サービスの現状を教えてください。
堀 現在のバイクシェアサービスは、2011年4月にNTTドコモが横浜市と始めた共同社会実験がベース。11年度に年間4万回だった利用回数は、19年度には年間1200万回に増えています。成長の要因は、行政との連携が進むなど、サービスエリアが広がっていること。バイクシェアのサービス拠点であるポートの設置密度を濃くし、数百メートル歩けば必ずポートがあるような状況にできれば、より多くの利用につながり、ビジネスも成長すると分かってきました。
サービス提供エリアは?
堀 東京は、千代田区の「ちよくる」など、12の区に860ほどのポートがあり、合計約8600台の赤い電動アシスト自転車を利用可能です。他にも、札幌や仙台、広島、沖縄など、日本各地で我々のアプリを使ったシェアサイクルサービスが展開されています。
久下 ドコモ・バイクシェアは、バイクシェアサービスのプラットフォームを提供する企業です。
堀 我々はシステムを整備し、自転車の利用に使うアプリや自転車という機材を各運営主体に提供しています。運営主体は各地で異なりますが、共通ID(ユーザーアカウント)エリア内であれば、例えば札幌で登録したIDで金沢の自転車を使うことができます。
新アプリをリリースした経緯は?
堀 創業時からずっと、同じシステムやアプリでサービスを提供してきました。しかし、もともとのシステムは、現在のように年1000万回を超える利用を想定しておらず、爆発的に増えた利用回数にシステムの増改築で耐えてきたのが実態でした。シェアサイクルは、通勤通学の利用が多いのですが、当時は朝晩のタイミングでサーバーが不安定になることもあり、ユーザーのみなさんにご迷惑をおかけしていました。なので、アプリ刷新の前に、システムを増強しています。
久下 今回のプロジェクトは、アプリだけを作り替える案件ではなく、システムも含めたサービス全体のリビルド。バイクシェアというビジネスの成長に必要なものの検討も、私の役割でした。
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