コロナ禍で打撃を受けている演劇界。そんな中、スタッフや演者がフルリモートで演劇を生配信する「劇団ノーミーツ」が注目を集めている。5月の長編1作目では5000人、7月~8月の2作目では7000人が“観劇”する人気ぶり。劇団ノーミーツのキーパーソンにオンライン演劇の成功の秘密を聞いた。
SNSを中心に、「オンライン演劇の新しい形をつくり出した」と、大きな反響がありましたが、劇団ノーミーツを立ち上げた理由は。
広屋佑規氏(以下、広屋氏) 僕は「Out Of Theater」という屋外のライブイベントカンパニーをプロデュースしています。新型コロナウイルス感染症拡大の影響で企画が全部中止・延期してしまう中で、ただ自粛するのではなく、何か今できることはないかと考えていました。そのころSNSでは、いくつかのチームがZoomを使った演劇に挑戦しており、それをたまたま見ていて面白そうだと思って知り合いだった林健太郎に声をかけました。
小御門優一郎氏(以下、小御門氏) 林と僕は大学の同級生で、学生時代に自主制作の映画を一緒につくったこともある仲です。そんな関係で林から僕に連絡が来たという経緯ですね。広屋とはZoomで初めて会話しました。
広屋氏 最初に3人でZoomで話をしたのが、緊急事態宣言が首都圏など7都府県に出された4月7日でした。今日でちょうど4カ月ですね。4カ月間、駆け抜けました(編集部注:インタビューは8月7日にZoomで実施)。
長編2作目は、オンラインの世界のつくり込みに驚きました。4カ月でここまで完成度を高められることは、初めからイメージしていましたか。
林健太郎氏(以下、林氏) 最初に3人で集まった頃は、Zoomでバーチャル背景を初めて体験し、グリーンバックがなくてもこんなにきれいにできるんだと感動するくらいでした。部屋の電気を消して液晶の光だけになると怖いねとか、いろいろ実験しながら、そして遊びながら進めていきました。
広屋氏 4月は毎日、毎晩リモートで集まって、世の中のオンライン上で何が起こっているか想像したり、話し合ったりしていましたね。最初の1カ月は、Zoomでつくった140秒ぐらいの動画をTwitterに投稿していました。先ほど林が話したように、液晶の光だけだと怖い雰囲気をつくれるのではと考え、Zoom飲み会をテーマにしたホラー短編作品「ZOOM飲み会してたら怪奇現象起きた…」を制作。その後、Zoom同窓会から着想した「ZOOM同窓会開いたら、当時付き合ってた元カノと二人きりになった。」や、「ダルい上司の打ち合わせ回避する方法考えた。」などの短編を公開しました。
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