全く書かない日は「年に2、3日あるかどうか」

現在も10本前後連載するなど、精力的にご執筆されています。どんなスタイルで書いているのでしょうか。

赤川氏 書くのはいつも夜中なんです。30歳で会社員を辞めたとき、一番うれしかったのは寝坊ができること(笑)。だいたい15時くらいに起きて、芝居を見たり映画を見たりして過ごします。深夜0時頃から明け方まで書いて、朝9時に寝ます。

 仕事量が多いので休めないというのもありますが、全く書かない日は年に2、3日あるかどうか。今も原稿用紙に細字のサインペンで手書きしているので、海外旅行に行く際も執筆道具を持って行って書きます。大みそかから元日に変わる瞬間は「これからも仕事が続けられるように」というげん担ぎもあって、必ずペンを握っているようにしています。書くことが好きだし、楽しいんです。つらかったらこんなには続かない。

 これでもだいぶ連載は落ち着きましたが、一番忙しい時は日刊紙2本、週刊誌3本、月刊誌15本の連載がありました。新聞も1日分ずつ渡していたら編集者が大変だから、2~3日分まとめて書いていました。会社勤めの経験から、編集者に迷惑をかけたらいけないという思いが常にあります。

 単行本にするときに加筆修正はしても、連載が予定より長くなるというようなことはありません。「1年の連載ならこれくらい」というサイズ感は見えるんです。40年やっていますからね。

赤川次郎『いもうと』(新潮社刊、税込み1650円)
赤川次郎『いもうと』(新潮社刊、税込み1650円)

赤川さんの小説には10代の女性が主人公の作品が多い印象です。どうやってキャラクターをつくりこんでいくのでしょうか。

赤川氏 私の作品はミステリーが基本なので、事件に飛び込んでいくバイタリティーがある人物と考えるとやはり若い女の子を主人公にしたほうが物語を進めやすくなります。キャラクターの性格や家族構成などの設定はほとんど想像。女の子に取材しようと思っても、声なんてかけられないですよ。専業作家になった30歳のころ、日中に公園でぼんやり座っていたら不審者扱いされたこともあります(笑)。

 最近の作家、特に警察小説を書く人はとてもよく取材していますよね。私は『三毛猫ホームズ』シリーズなど刑事を主人公にした小説も多く書いていますが、警視庁に捜査一課以外どんな課があるのかも知らないくらい。小説って結局作り話なんですよ。リアルすぎると細部にばかり目がいってしまって本筋が追えない。小説の中の刑事は「こうであってほしい」という私の理想を込めて描いています。