死んだはずの姉の声が聞こえる少女と周囲の人を取り巻く青春小説『ふたり』は1989年に刊行され、160万部の大ヒットとなった。その続編『いもうと』が2019年10月に発売。著者の赤川次郎氏は数多くのシリーズを持ち、最盛期は年24冊、現在も年間10冊を刊行する。アイデアの源を探った。

赤川次郎氏。1948年生れ。桐朋高校卒業後、日本機械学会在職中にテレビドラマ「非情のライセンス」シナリオ公募に入選。76年『幽霊列車』でオール讀物推理小説新人賞を受賞し、小説家デビュー。78年『三毛猫ホームズの推理』が大ヒットし、一躍ベストセラー作家となる。80年『悪妻に捧げるレクイエム』で角川小説賞、2005年日本ミステリー文学大賞、16年『東京零年』で吉川英治文学賞をそれぞれ受賞。杉原爽香、吸血鬼、子子家庭などシリーズものも多く手がけている。15年に累計発行部数が3億3000万部を突破。19年12月時点で出版した本は620冊を超えた。映像化・舞台化作品に『セーラー服と機関銃』『探偵物語』『晴れ、ときどき殺人』『死者の学園祭』『鼠、江戸を疾る』『夢から醒めた夢』など多数。19年10月に発売された『いもうと』は89年に刊行、ドラマ・映画・舞台化もされたベストセラー『ふたり』の続編
赤川次郎氏。1948年生れ。桐朋高校卒業後、日本機械学会在職中にテレビドラマ「非情のライセンス」シナリオ公募に入選。76年『幽霊列車』でオール讀物推理小説新人賞を受賞し、小説家デビュー。78年『三毛猫ホームズの推理』が大ヒットし、一躍ベストセラー作家となる。80年『悪妻に捧げるレクイエム』で角川小説賞、2005年日本ミステリー文学大賞、16年『東京零年』で吉川英治文学賞をそれぞれ受賞。杉原爽香、吸血鬼、子子家庭などシリーズものも多く手がけている。15年に累計発行部数が3億3000万部を突破。19年12月時点で出版した本は620冊を超えた。映像化・舞台化作品に『セーラー服と機関銃』『探偵物語』『晴れ、ときどき殺人』『死者の学園祭』『鼠、江戸を疾る』『夢から醒めた夢』など多数。19年10月に発売された『いもうと』は89年に刊行、ドラマ・映画・舞台化もされたベストセラー『ふたり』の続編

大ヒット作の30年ぶりの続編を刊行

新刊『いもうと』は1989年に出版して大ヒットし、、映画化やドラマ化もされた『ふたり』の続編です。30年たって続編を書かれた理由を教えてください。

赤川次郎氏(以下、赤川氏) 担当編集者から、刊行30年という節目に「ヒロインのその後を書いてみませんか」という提案があったんです。これまでシリーズものをたくさん手がけていますが、『ふたり』に関しては私が続編を書かないと決めていると編集者は思い込んでいたそう。でも、特に決めていたわけではなかったんですよ。

 「本にするならすぐ始めないと間に合わない」と思い、早速連載に取りかかりました。

刊行から30年たっていますが、続編の設定は11年後です。主人公の北尾実加は16歳から27歳の働く女性に。この年齢にしたのはなぜでしょうか?

赤川氏 私自身、実加と同じように高校を卒業して就職し、会社勤めをするかたわら28歳で新人賞をとってデビューしました。27~28歳は、会社の中でも存在感を表してくると同時に自分の生活を省みる余裕が出てくる年ごろだと思います。私生活では恋愛もするけれど、結婚や出産はこれからという人も多いでしょう。主人公が幸せになるかどうかという結末より、主人公がどんなことを大事にして生きていくのかということや周囲との関わりを描きたかったんです。

 内容や結末は最初からカチッと決めてはいませんでした。でも、人の性格って変わらないと思うんです。いろいろ事件は起きるけれど、それにどう対応するかというスタンスは変化しないはず。主人公はアパートで暮らしていてお風呂の水をためる時間や夜中に足音を立てることを気にします。アパートに住んでいたらそういうことに気を使わなければいけないというのは、30年前も今も変わらないでしょう。

 いつもキャラクターができていれば物語が自然にできてくる……と言いたいところですが、実際の連載では書いた伏線が回収できないこともあります(笑)。途中で魅力的なキャラができたら、そちらを膨らませたくなったり。読者は連載中の細かいことは覚えていないだろうから、単行本にするときに直しています。