日本マイクロソフトの社長を経て投資コンサルティング会社を設立。現在は書評サイトの代表を務める実業家、成毛眞氏。ビジネスパーソンからの支持も高い同氏の新刊のテーマは、「遊び」。数多くのビジネス書を手がけた成毛氏が、なぜ遊び方を指南する本を出版したのか。

成毛 眞(なるけ まこと)氏
1955年、北海道生まれ。中央大学商学部卒業後、アスキーなどを経て、86年に日本マイクロソフトに入社。36歳で同社代表取締役社長に就任。 2000年に退社後、インスパイアを設立。2010年、書評サイトHONZを開設、代表を務める

趣味や「遊び」がビジネスでの強みになる

新刊『人生も仕事も変わる!最高の遊び方』(宝島社)では、成毛さん自身の幼少期の読書体験やAmazonの創業者ジェフ・ベゾスが実現に向けて動いている宇宙旅行など、さまざまな「遊び」に触れています。本のテーマに「遊び」を選んだ背景について教えてください。

成毛眞氏(以下、成毛氏) 何か1つのことに夢中になって遊んでいるうちに、それがビジネスにつながる可能性があると考えています。Facebookは現役大学生が住所録やチャットルームを作って遊んでいるうちに大きくなりました。ビル・ゲイツも高校時代からコンピューターで遊び始め、起業しました。世界中から注目を浴びているユニコーン企業の中にも、もともと遊びの延長で事業をスタートしているところが多い。

 彼らの事業が成功したのは金もうけが目的だったからではなく、興味があることにのめり込んだ結果だと思います。面白くてしょうがないから続けられるし、ビジネスもどんどん大きくなる。

日本の起業家で、「遊び」とビジネスをうまく結び付けていると思う人物は?

成毛氏 思いつくのはチームラボの猪子寿之氏、ZOZOの前澤友作氏。老舗餅店の新規事業としてクラフトビール「伊勢角屋麦酒」をスタートさせた鈴木成宗(なりひろ)氏や、ミドリムシを使ったビジネスを次々に展開するユーグレナの出雲充氏にも注目しています。

 起業家ではないですが、本の最後に対談している俳優の六角精児氏は鉄道と酒が好きで、趣味を極めているうちに冠番組(NHK BSプレミアム「六角精児の呑み鉄本線・日本旅」)まで持つようになりました。でも、本人は最初から番組化することを意識はしていなかったと思います。

趣味や「遊び」がその人の強みになるということでしょうか。

成毛氏 先に挙げたような著名人だけでなく、一般のビジネスパーソンにもそうした強みを持っている人はたくさんいるはずです。ただ、それがなかなかビジネスに結び付かないということもあるでしょう。

マイクロソフトの社長業も「ゲーム感覚」だった

企画を1つ出すにも「なぜやるのか」「どれくらい売れるのか」という目的や理由を求められてしまい、楽しんで取り組む余裕がない人も多い気がします。

成毛氏 私が日本マイクロソフトの社長だったときは、完全に遊んでいる感覚でした。ビジネスは将棋やアメフトに近いものがあります。敵の陣地を取っていくんですよ。(競合という)相手を完膚なきまでにたたき潰すゲームなんです。将棋もアメフトも、プロなら勝てばお金がもらえます。でも、お金もうけよりもやっていて楽しいから続けている人が多いのではないでしょうか。

 ここ数年、ソニーが面白い商品を次々出しています。ガラス製の「グラスサウンドスピーカー」や30万円(税別)もするテイラーメイドイヤホン「Just ear」など、企画した人が面白さを追求して作ったような商品が売れている。ナポリタン味やコンポタージュ味などのアイスに挑戦する「ガリガリ君」の赤城乳業も面白い。遊びながら仕事をしているからこそ、ユニークな発想が生まれるのだと思います。

 ヒカキンなど、トップクラスのユーチューバーもそう。収入もたくさん得ていますが、それよりも楽しそうに見えますよね。ユーチューバーのように楽しんで仕事をしている人を見るのは、アイデアを考えるヒントになるかもしれません。