「無印良品」の「中の人」として活躍していた風間公太氏が4月、「MUJI passport」開発で知られる奥谷孝司氏と岩井琢磨氏が率いる顧客時間(大阪市)に合流した。すご腕マーケターは新天地で何を目指すのか。

風間公太氏 顧客時間チーフプランナー・広報統括
音楽学校や劇団四季での広報・宣伝担当を経て、2007年良品計画入社。コミュニケーション担当として、日本での企業ソーシャルメディア黎明(れいめい)期から無印良品公式Twitter、Facebook、Instagramアカウントを開設し、100万人を超えるフォロワー/ファンの窓口を一手に担う。また、CRM(顧客関係管理)アプリ「MUJI passport」や睡眠アプリ「MUJI to Relax」などのモバイルアプリ、グローバルブランディングなど、無印良品のデジタルマーケティング全般に携わる。19年、顧客時間に参画。エンゲージメント・ファースト Chief Social Media Officer、フリーランスのソーシャルメディアスペシャリストとしても企業アカウントの運用支援を行っている。

風間さんは良品計画でSNS運営を担当し「ザ・中の人」のイメージですが、社会人としてのスタートは全く違う畑だったとか。

風間氏 大学を中退して音楽関係の仕事に就いたのですが、音楽学校で講師もしていました。しばらくして学校から「広報をやってみないか」と誘われ、広報や宣伝の仕事を始めました。実際に担当してみると、とてもやりがいがありましたが、もっと自分のフィールドを広げたいと、30歳で転職したのが「劇団四季」でした。

大胆な転身ですね。

風間氏 四季でも広報でしたが、学校の広報とは、伝える相手の数や事業の規模がまるで違う。勝手が分からず、毎日が“修行”でした。

 メインで担当していた演目は『キャッツ』で、当時、すでに20年を超えるロングラン・プログラムになっていました。その魅力を伝え続ける必要があるわけですが、1年ごとに内容が変わるわけではない。新たな魅力をどう伝えるか、かなり悩みました。

 しかも四季のPRでは、役者の名前を使わないのがルール。毎回「1000本ノック」のような感じで、PRの切り口、アイデアを考えていました。今振り返ると大変なことが多かったのですが、学びが多い職場でした。

良品計画に転じたのは、2007年でしたか。

風間氏 ええ。音楽学校では教育、四季では演劇という「形のないもの」に携わったので、次は「実在するモノ」に関わる仕事をしたいなと考えたのです。時代がどんどんデジタルに向かっていたので「次は、デジタルに関わりたいな」とも。そうした中、良品計画がWEB事業部(現在のオープンコミュニケーション部)の求人をしているのを知り、応募したのです。

そこで奥谷さんと出会った。

風間氏 当時、私はECサイトのディレクターとして商品を伝えるコンテンツを考えていました。そのチャネルとしてTwitterに注目し、09年10月に公式アカウントを開設したのです。10年に奥谷がWEB事業部の部長に着任し、その後、一気に無印良品のデジタルマーケティングが加速しました。

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