「時間が足りない」のは「仕事が合理化できていないから」

 佐藤氏の最新書籍『アマゾンのすごい問題解決』には、「終わるまでとにかくやれという社風をどう変えるか」「他部署との調整に疲れたときはどうすべきか」など、日本のビジネスパーソンが直面しているであろう約30の問題と、その解決法が記されている。だが、この本の中で起きている「問題」の全てを、実際に佐藤氏がアマゾンで経験したわけではない。「社内で問題が起きたとき、アマゾンならこう対処するという考え方をまとめたもの」と佐藤氏は説明する。

佐藤将之『アマゾンのすごい問題解決』(税抜き1500円、宝島社)
佐藤将之『アマゾンのすごい問題解決』(税抜き1500円、宝島社)

 例えば、「時間がない」という問題。飲食や小売業などではバイトの募集をかけても人が集まらない。正社員の有効求人倍率も1.15倍と高い値が続いている(平成31年2月分「一般職業紹介状況」、季節調整値、厚生労働省)。人手不足の状況が続く中、「やらなければいけないことは山積みなのに、手が足りない上に時間も足りない」と悩んでいる人は多いだろう。だが、「時間が足りないと感じるのは、これまでと同じ仕事のやり方を続けているからだ」と佐藤氏は指摘する。

 「例えば、これだけIT技術が進歩しているのにもかかわらず、FAXを使わないと成立しないという仕事もいまだにある。先進国でこれだけFAXの使用率が高いのは日本くらいだろう。ほかにもハンコをもらうのに時間がかかって、起案から承認まで半年かかる場合も。日本が「いい時代」だったころのやり方を続けていては、世界の企業とは渡り合えない。仕事を合理化すれば、いくらでも時間を捻出できるはず」(佐藤氏)

 「うまくいっていない」という自覚はあっても、どう解決していいかまでは分からない。そんなときでも、「考え方の軸」があれば、解決の糸口がつかめるはず。

 「アマゾンの場合、『アマゾンならばこう考える』という軸があるので、どんな問題が飛び込んできても解決できる。だからこそ、アマゾンは成長しているのだと思う」(佐藤氏)

 だが、1プレーヤーの立場で上司や会社を変えるのは難しいのではないだろうか。

 「『上が変わらないからしょうがない』ではなく、自分で行動していくしかない」と佐藤氏はアドバイスする。

 「今、何をやっているか自分でも分からず、仕事の楽しさが感じられないという人も少なくないと思う。そんなときは、自分で具体的な目標を立て、KPIを作って毎週確認すればいい。営業なら、例えば会社が『前年比超え』というあいまいな目標しか設定してくれないのであれば、自分でゴール設定して進めばいい。アマゾンは『あなたはどう行動するのですか』ということを常に求めている。使い古された表現だが、自分がどう行動するのかで全てが変わると思ったほうがいい」

(写真/岩澤修平)