米HPがデザイン性に優れたノートパソコンを開発し、新たな市場を開拓しようとしている。2018年、本体を革で作ったノートパソコンを発表。ノートパソコンに革製ケースを付ける例はあるが、革を外装に使う例は珍しい。高級革製品のような外観が、新たなユーザーエクスペリエンスを提供する。

(写真/名児耶 洋)
(写真/名児耶 洋)
ステイシー・ウルフ(STACY WOLFF)氏
米HP パーソナルシステムズ デザイン部門グローバル責任者
HP パーソナルシステムズ デザイン部門グローバル責任者。パソコン会社などでデザインを手掛け、HPに入社後は「HP Spectreシリーズ」や「HP ENVYシリーズ」などを担当。「HP EliteBookシリーズ」や「HP ProBookシリーズ」のデザインでレッドドット・デザイン賞、iFデザイン賞やI.D. マガジン賞などを受賞

 挑戦的なデザインの背景には、デザイン部門の再編があったという。パーソナルシステムズ部門のデザイン責任者であるステイシー・ウルフ氏は、「各商品の担当デザイナーを一つの部門にまとめた他、デザイン部門を事業部門長の直下に配置した。それだけデザインを重視するようになった」と話す。事業部門長の上は経営トップになるため、HPのパソコン戦略や経営姿勢の中に、デザインの要素が今までより強く位置付けられるようになった。

 「デザインがノートパソコンの開発でリーダーシップを取れるようになった。経営トップは、これからの“成長エンジン”の1つが、デザインになると判断したからだ」(ウルフ氏)。

 今後のノートパソコンの開発ポイントは、いかにユーザーエクスペリエンスを高めるかにある、とHPは見ている。ノートパソコンでのテクノロジーの重要性は変わらないが、それだけでは不十分。ユーザーエクスペリエンスの向上には、デザインによる付加価値が求められる、というわけだ。

「Spectre Folio(スペクトル フォリオ)」は1枚仕立ての革のシートにマグネシウムとアルミニウムの板を貼り合わせた。画面サイズは13.3インチで、色は茶とボルドーの2色がある(画像提供/HP)
「Spectre Folio(スペクトル フォリオ)」は1枚仕立ての革のシートにマグネシウムとアルミニウムの板を貼り合わせた。画面サイズは13.3インチで、色は茶とボルドーの2色がある(画像提供/HP)

 革に注目したのは、単に外観に配慮したためではない。機能の面でも革が優れていたからだという。最近のノートパソコンでは、タブレットにも簡単に変形できる「2 in 1」と呼ぶ製品が人気だが、これを実現するためにも革にメリットがあった。折り畳むヒンジ部分を機構的に工夫するより、革を使ったほうが機構部分が不要になり簡単に済むからだ。

 実は開発当初から、2 in 1に簡単に変形できるヒンジ部分をどうするかといった課題があった。これを解決するために出した回答が革の活用だった。しかも革にすることで、今までにないプレミアム感を打ち出せる。

「2 in 1」となる製品で、データ入力やエンターテインメント鑑賞などで形状を変えることができ、タブレットとしても使える。デザインの観点だけでなく、ヒンジ部分の課題を解決するために革の採用を選択した
「2 in 1」となる製品で、データ入力やエンターテインメント鑑賞などで形状を変えることができ、タブレットとしても使える。デザインの観点だけでなく、ヒンジ部分の課題を解決するために革の採用を選択した
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