※日経トレンディ 2019年4月号の記事を再構成
ドン・キホーテを運営するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(以下PPIH、2月にドンキホーテホールディングスから社名変更)が、小売店の“未来形”として2018年11月に送り出したのが、「MEGAドン・キホーテ港山下総本店」だ。
象徴的なのが、技術を活用した最新サービス。タブレット付きのキッズカートや、レーンに商品を置くだけでバーコードを読み取るレジなどを体験できる。
さらに驚くのは、地元住民と訪日外国人観光客という、全く異なる2つのユーザー層を捉える仕掛けだ。
地下1階には青果、精肉、鮮魚などの生鮮品がズラリと並び、一見するとスーパーマーケットのよう。スーパー商材を扱うドンキ店舗もあるが、同店では広いフロア全体を使って生鮮4品をすべて扱っている。焼き芋といった人気のモバイルフードも取り入れる。休日の日中に訪れると、家族連れなどでレジには行列ができていた。
一方、1階にはインバウンド需要を意識した仕掛けも充実。何と、店の中央に観光案内所があるのだ。案内所に行くまでには化粧品や雑貨が目に入り、客の購買意欲を刺激する。4月からは横浜市の19年版ガイドブックにも案内所として載るため、店への誘客機能としても貢献。案内所には、地元メーカーの菓子やアルコール飲料などを用意した、横浜土産のコーナーもある。
20年の東京五輪などが控えるなか、外国人観光客の増加も見込まれる。観光地だけでなく、新たな小売店の形としての試金石になりそうだ。

横浜の観光客増加への発信地に
観光案内所の運営や横浜土産の仕入れは、PPIHのグループ企業であるジャパン インバウンド ソリューションズが担う。各国で訪日客増加に取り組んできた知見を還元するとともに、自治体とも連携し、店を発信地として横浜への観光客増加も目指す。
(写真/高山 透、イラスト/オゾングラフィックス)