※日経トレンディ 2019年3月号の記事を再構成

商品はデザイン性に乏しく、店は雑多で男臭い。女性に敬遠されがちなカー用品店に新顔が現れた。オートバックスセブンの新業態「JACK&MARIE」だ。2018年3月に1号店をオープンし、横浜、名古屋、福岡に4店舗を構える。横浜ランドマークプラザ内の店を訪れ、狙いを探った。

オートバックスセブンの新業態「JACK&MARIE」
オートバックスセブンの新業態「JACK&MARIE」

 主力のカー用品は、17年に立ち上げた自社ブランドで、同店の名を冠した「JACK&MARIE」と「JKM」の商品が中心。共にガジェット感が強く、やぼったい従来のイメージを〝封印〞した、しゃれたデザインが特徴だ。例えば、売り上げランキング1位のシートポケットは、リゾート風の柄と色使いでインテリアとしても秀逸。

JACK&MARIE(横浜市 他)
売上数RANKING
第1位
PENDLETON×JACK&MARIE シートポケット
4200円(税別)

シートに引っ掛けて使うシートポケット。シャツなどを手がける米オレゴン州のメーカーとのコラボ商品で、色はアイボリー(写真)とグレーの2種類から選べる

第2位
UNIVERSAL OVERALL
×JACK&MARIEカバーオール

9800円(税別)



米シカゴのワークウエアブランドとコラボして新開発。適度な使い込み感を加えて、タウン仕様にした特注色のオリジナル商品だ。もともと作業着だけに、動きやすい

第3位
アルミ背付ベンチカバーデニムクッション
1万2000円(税別)

アルミ製のベンチなどにかぶせて使うクッション。人気アウトドアブランド、CAPTAIN STAGの通称「鹿ベンチ」にも対応する。中綿入りで座り心地は上々だった

夫婦で買い物を楽しめる店づくり

 アパレルや雑貨などを扱うのもカー用品店としては異質。セレクト商品が多いが、ランキング2位のカバーオールは、米シカゴのワークウエアブランドに「作業服の雰囲気を残しつつ、普段着にも使える商品を」と働きかけ開発した別注色のオリジナル商品だ。

 一方、クルマ好き男性の心をしっかりつかむ仕掛けもある。最近人気のキャンプ用品専門店のノウハウを効果的に導入した、工具や収納などをガレージの1シーンを再現して陳列している一角が人気だ。店長の牧野優子氏は「夫婦で買い物を楽しむ光景が多い。従来のカー用品店ではあまり見られなかったこと」と手応えを語る。

 今年1月には、公式オンラインショップも開設。店舗数、売上高とも減少傾向にある同社にあって、立て直しの一手になるか注目だ。

現場の視点
JACK&MARIE 横浜ランドマークプラザ 店長 牧野優子氏
JACK&MARIE 横浜ランドマークプラザ 店長 牧野優子氏
「男の店」というイメージを変えて女性のカー用品需要を掘り起こす
 アパレルの大手セレクトショップを参考に、女性でも入りやすい店づくりを目指した。狙い通り、アパレル目当てで入店した女性客がデザイン性の高いカー用品の存在を知り、一緒に買うケースも多い。新たな女性のカー用品需要の掘り起こしの場になっている。
カー用品店らしからぬ空間演出
 木目調の棚に、余裕を持って商品を陳列。ガレージやキャンプの1シーンを再現した一角も設ける。「従来のカー用品店に行かない人にも、興味を持ってもらえる店づくりを重視した」(牧野店長)という。

(写真/古立康三)

この記事をいいね!する