ユニリーバ・ジャパン・カスタマーマーケティングが、日本で初めて、Twitter上でも視点を動かせる360度動画を使った広告を配信し、累計再生回数1403万回を達成した。日本初の試みが話題となり、商品の認知度アップとブランドイメージ向上に成功した。
動画再生中に画面をスワイプするだけで、映像世界の上下左右が見回せる、ユニリーバ・ジャパン・カスタマーマーケティングの360度動画「シャインワンダーランド」が、累計再生回数1403万回を突破した(2018年12月17日時点)。
ユニリーバ・ジャパン・カスタマーマーケティングが18年10月に発売した「ラックス スーパーリッチシャイン シャインプラス」のプロモーション用に作られたオリジナル動画で、「新商品はツヤ・輝きのある美髪を目指す女性をターゲットにした新コンセプト。新商品の世界観を印象的に伝えるため、フルCGを使った360 度動画に注目した」と、同社の板倉拓摩氏は着想を語る。
360度動画自体はこれまでもあったが、画期的だったのは作り込んだコンテンツとして、Twitter上で広告展開された点だ。「企業が事前に制作した360度動画をアップロードして広告として活用するのは、日本初の試み」(Twitter Japan Twitter Client Solutions LCS情報サービス業界部長・加藤瑞人氏)だという。
ユニリーバでは17年、Twitterのライブ配信アプリ「ペリスコープ」を使って、ライブ動画シリーズを配信。1回当たり100万人を超える視聴者を獲得した実績を持つ。さまざまな情報があふれるTwitter上では、目新しい技術が耳目を引き、他のコンテンツと差別化が図れる。
映像制作を担当した3ミニッツ(東京・渋谷)によれば、360度動画を効果的に見せるなら、ユーザーが自由に周辺を見回せる利点を生かして「空間の移動」を疑似体験させるのがポイントだという。今回の動画では、歌手のDream Amiが、バスルームから遊園地、ライブステージへと、バスタブのジェットコースターに乗って走り抜けるという作りになっている。
動画はAmiの新曲「ワンダーランド」ともコラボしている。「ミュージックビデオは動画コンテンツとして人気が高く、また通常とは異なる表現へと変えられるという観点で、360度動画と相性がいい」(板倉氏)。広告効果を高めるため、公開3日後にAmiによるライブ配信も行った。
近年、ドラッグストアなどの小売店では、テレビだけではなくウェブ上での広告施策によって店頭商品の展開を決めるという流れもできている。必要ならば多額の広告費をかけてでも、新しいテクノロジーを用い、話題を呼ぶことが成功の鍵を握る。
観光地や機内紹介に多用される
360度動画はますます広がる