深層学習により画像や言語などのデータを機械で処理することが容易になったことを契機に、現実世界で動作するロボットの開発に対する期待が高まっている。もしロボットが言語を用いて人間に質問を行って支援を求めることができたら、作業をより柔軟に行えるはずだ。この記事では、言語を用いて人間と協働するロボットの開発に取り組む研究を紹介する。
現実世界で動き回るロボットは、様々なセンサーから画像などの情報を収集し、それを基に行動を決定する必要がある。画像などの高次元データを機械が処理することは困難であったが、深層学習と呼ばれる技術によって大きな進展が見られている。そうした背景の下、現実世界で動き回るロボットの開発に対する期待が高まっている。
特に近年注目されているのは、“よしなに”動き回る能力をロボットに備えさせることである。例えば工場のベルトコンベヤーの脇で動作するロボットは、決まった動きを繰り返す能力を備えていれば十分であり、よしなに動き回る必要ない。一方で、私たちの家庭内で動作するロボットは、様々なものが散らかった、すなわち決まったパターンを持たない部屋の中を動き回る必要がある。加えて、家庭内ロボットは家事など非常に多様なタスクの中から、その場面に応じたものを行うことが好ましい。
こうした背景の下、言語を用いて人間とコミュニケーションを行うロボットの開発が望まれている。まず、言語は人間の監督者がその場に適したタスクをロボットに指定することに使える。例えば「お皿を台所からテーブルへ運んで」といったような指示を、言葉でロボットに与えることができれば便利だ。このように、人間がロボットに対して言語を用いて指示を与えることは、人間とロボットの間のコミュニケーションの代表的な形の一つであり、様々な研究がなされている。
しかし、人間とロボットの間で柔軟なコミュニケーションを行うには、ロボットから人間に対して言葉を発することも重要である。例えば私たちが初めて訪れる場所でしばしば人に道を尋ねるように、ロボットが分からないことを人間に尋ねるような場面を想定している。このようにロボットから人間に支援を求め、人間がそれに対して答える双方向コミュニケーション(対話)は、人間とロボットの協働を容易にすると期待できる。
この記事は会員限定(無料)です。
- ①2000以上の先進事例を探せるデータベース
- ②未来の出来事を把握し消費を予測「未来消費カレンダー」
- ③日経トレンディ、日経デザイン最新号もデジタルで読める
- ④スキルアップに役立つ最新動画セミナー