※「5G&人工知能ビジネス2020」(2019年12月17日発行)の記事を再構成
センサーやカメラを使ってリアルの世界を取り込み、デジタルの中でコピー(=双子)を生み出す。本格的なAI・5G時代の到来を前に「デジタルツイン」という概念が広がりつつある。分析や未来予測など、今後のIoTサービスを理解する上で必須のキーワードとなりそうだ。
デジタルツインは、リアル(アナログ)の情報をセンサーやカメラでまるごと捉え、そのツイン=双子となるデータをクラウドサーバーなどデジタル側で作り出すというデータ活用の概念である。デジタル側で複製化したデータでシミュレーションし、その結果をリアルの世界にフィードバックする。
かつては製造業向けの概念
デジタルツインは、もともと製造業のためのものと認識されてきた。例えば、かつて新しいハードウエアを開発するときには、プロトタイプの製作で大きな手間とコストがかかるという問題があった。さまざまな部品を実際に組み上げてみたら、うまく動かないことも多い。デジタルツインによって、デジタル側で設計データに基づいた試作品を作り出せば、動作シミュレーションや修正も容易にできるため、失敗のリスクが低くなる。結果的にコストはもちろん、開発期間も大幅に削減される。
導入したデバイスの運用管理にもデジタルツインを生かせる。まずは、リアル環境に設置されたデバイスの運用環境や稼働状況を常態的にモニタリングし、ラーニングさせる。
そのデータを使い、リアルと同じ環境をデジタル上に構築することで未来が予測できるようになる。エラーの予測、メンテナンスの必要性も事前に可視化できる。デジタルツインが当たり前になった世の中では「突然使えなくなる」ことはほとんど発生しなくなるはずだ。
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