仮想空間に没入することを楽しむVR、現実の映像とCGを重ねるARやMR。これらを総称する「xR」は、高速大容量の5Gを生かす用途として注目される。コントローラーを使わず素手で操作できるようにするなど技術も進化している。
高速大容量の5Gを生かすサービスとして、大手の通信事業者がこぞって取り組むのが、VR(仮想現実)やAR(拡張現実)だ。
HMD(ヘッドマウントディスプレー)で多様な視点からCGで作られた仮想世界を楽しめるのがVR。透過型のメガネ型デバイスで風景とCGを重ねることで現実を拡張するのがARとなる。さらにMR(複合現実)と呼ばれる技術がある。CGと現実の融合で、業務用途など応用範囲を拡大するというものだ。
ARとMRの違いは分かりにくいかもしれない。MRは、単にCGを表示するだけでなく、CGと現実をより密接に融合させ、互いに影響を持たせるという点が異なる。例えば、家具の色や模様をCGで変えつつ、消費者の使い方の変化を検証するといった使い方が考えられる。
これらVR、AR、MRは、総称して「xR」と呼ばれている。
トレンドはセンサー一体型
VRは2016年に「元年」を迎えたと言われている。フェイスブック傘下の米オキュラス「Oculus Rift」、ソニー・インタラクティブエンタテインメント「PlayStation VR」、台湾HTCが「HTC VIVE」と注目製品が相次いで登場したからだ。
それから3年。19年時点のVRトレンドは「Oculus Quest」に代表されるセンサー内蔵の一体型だ。従来はユーザーあるいは手に持つコントローラーの位置を正確に把握するために、外部センサーを使う製品が主流だった。一体型の場合は、ゴーグルが備えるカメラで周囲の環境をスキャンし、自動的に空間マップを作成する。外部センサーを設置する手間がないので、気軽に使える。
2020年にはコントローラーを使わなくても、ゴーグルの前にある手の動きをカメラで検知できるようになり、物をつかむといった操作ができるようになる見通しだ。
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