日本マイクロソフトは2019年1月29日、流通業を対象としたデジタル化を推進する支援策を発表した。同社のクラウドプラットフォームである「Microsoft Azure(以下、Azure)」の活用を促進し、複雑化、多様化する顧客の消費行動理解とオペレーションの効率化、サプライチェーンの高度化実現を支援する。
米マイクロソフトはグローバル戦略の一環として、「インテリジェント リテール」の実現を掲げている。具体的には、顧客体験の向上、従業員強化、サプライチェーンの高度化、ビジネスの革新と再構築を目指すものだ。今回発表した、店舗ビジネスの主要な業務シナリオをデジタル化する「Smart Store」と、社内外のデータを共通プラットフォーム上で分析して顧客理解とエンゲージメントを強化する「Smart O2O」は、インテリジェント リテールを早期実現する支援策という位置付けである。
記者会見に登壇した日本マイクロソフト エンタープライズ事業本部 流通サービス営業統括本部 本部長の成塚歩氏は、「スマートフォンやオンラインコマースの普及など、技術が流通業に与えるインパクトは大きい」と説明する。
マイクロソフトはグローバルでの流通市場で、クラウドやAI(人工知能)、IoTを活用したソリューションを提供している。米国ではアパレル企業の米ギャップをはじめ、スーパーマーケットチェーンの米ウォルマートや米クローガー、薬局チェーンの米ウォルグリーンとも提携し、各社のデジタル化推進を支援している。Smart StoreとSmart O2Oは、そうした企業の支援で得られたノウハウを生かしながら、日本の流通業界が直面している課題を解決する、日本独自の支援策になっている。
Smart Storeでは、流通業界でニーズの高いビジネスシナリオに基づいた使用方法とその典型的なシステム構成(リファレンスアーキテクチャー)を、開発者向けサービス「GitHub」を介して無償提供する。
具体的には、店頭の棚に並ぶ商品をAIカメラで自動認識し、来店客はスマホアプリのカートへ追加してスマホ決済するといった業務シナリオや、こうした業務シナリオの動作確認をしたりプラットフォームを構築したりするサンプルソースコードを、リクエストベースで提供する。
さらに、流通企業にソリューションを提供するパートナー企業も、リファレンスアーキテクチャーを活用できる。例えば、接客ロボットや画像認識レジなどを開発するベンチャー企業は、同アーキテクチャーを活用し、顧客企業の使用方法に沿ったソリューションの開発が可能だ。
こうしたパートナー企業が増加すれば、米アマゾン・ドット・コムが展開する無人コンビニ「Amazon Go」のような仕組みも構築できる。具体的には、入店認証やRFIDタグとスマホアプリを連動させ、ゲートを通るだけで決済が完了する「ウオークスルー決済」やリアルタイムでクーポン配信、さらに、モバイルデバイスやデジタルサイネージを活用したターゲティング広告の表示などの展開が考えられる。
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