いつも順番待ちの人であふれ、座る場所も足りない。大型病院でありがちな待合室の風景が、様変わりするかもしれない。USEN-NEXT HOLDINGS傘下で医療システムを手がけるアルメックス(東京・品川)は、AI(人工知能)搭載の受付機を開発した。業務効率化につなげ、受付業務の無人化も視野に入れる。

アルメックスは医療機関向けの自動受付機や精算機を開発している
アルメックスは医療機関向けの自動受付機や精算機を開発している

 アルメックスは、医療や宿泊施設向けの自動精算機を開発しているシステム会社。総合病院など大型施設向けの精算機では約65%と業界トップのシェアを持つ。精算機の他に、再来受付機や保険証確認機、診察の順番を表示する案内システムも手掛けている。

 2019年2月中の発売を予定する新開発の受付機「Sma-pa TERMINAL」は、これまで別々だった再来受付、保険証確認、自動精算の機能を1台にまとめた。AI顔認証で患者を認識できる他、受付時に後払いの手続きをしておけば、診察後に精算手続きをすることなく、すぐに帰宅できる。

 同社はホテルやゴルフ場の精算機も販売しているが、再来する頻度の高さ、混雑具合やオペレーションの複雑さから、AIによる高度化のニーズが最も高いのは病院向けと判断し、AIによる機能を付加したようだ。

診察券なしで顔パス受付

 利用イメージはこうだ。病院に到着し、受付機の前に立つ。本体正面のカメラに顔を向けつつ、自分の電話番号を入力すると、自動で顔を識別してくれる。画面には「本日の診察内容です。この内容で受け付けますか?」といったメッセージが出る。「はい」ボタンを押せば受付完了だ。診察券は必要ない。初診時には身分証明書の本人確認、月に1度は保険証の確認が必要となるが、それ以外であれば、顔パスの手ぶら診療が実現できるというわけだ。

AIによる顔認証機能を搭載した「Sma-pa TERMINAL」
AIによる顔認証機能を搭載した「Sma-pa TERMINAL」

 AIの顔認証を利用するには、マスクやメガネは外す必要があるものの、目が腫れている、顔色が少し悪いといった程度であれば、AIが変化をくみ取って正確に人物を割り出せるとする。AI技術の詳細は非公開だが、電話番号入力と組み合わせることで、十分な精度を出せるという。

 運用の柔軟性も持たせている。導入する病院の方針として、より厳密な手続きにしたいという場合には、診察券とAI顔認証を組み合わせることもできる。あるいはAI顔認証は使わずに診察券のみで受け付けるといった使い方もできる。歩行が困難な高齢者など、本人が受付機を操作することが難しい場合もある。そうした場合には、付き添いの家族の顔も登録する機能もある。

 面会受付にも使える。患者と家族がスマホの専用アプリをインストールし、患者が家族に招待状を送る。家族がスマホ画面で受け取ったQRコードを受付機にかざすと、休日でも面会ができるようになる。

 本体前面には発熱検知をするためのサーモカメラを備える。インフルエンザなどの院内感染を防ぐために、高熱が出ている患者や面会者が来院した際には、職員に警告を出す。

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