サイバーエージェントは2018年11月14日、ブランド広告主向けDSP(デマンド・サイド・プラットフォーム)「Skyrocket」の広告配信アルゴリズムを大幅刷新する。すぐにサイトから離脱する「即帰」ユーザーをAI(人工知能)で排除し、サイトの滞在時間が長いと推測される層だけを買い付け可能にする。

Skyrocketは購買や資料請求といったコンバージョンの指標を持たず、商品理解や興味関心の向上を促進したいブランド広告主を対象としたDSPだ。サイバーエージェントのAI研究組織「AI Lab」と共同開発した。
まずDSPとは、ネット広告を配信する広告主向けのサービスのことだ。データに基づき、ターゲットと推測される層だけをリアルタイムに買い付けられるのが特徴。年代、年収、職業といったデモグラフィックデータ、旅行好きやクルマ好きといった趣味嗜好などでターゲティングしてさまざまなサイトに横断的に配信できるため、効率的にターゲット層にアプローチできる。高いCVR(コンバージョン率)を指標とした、いわゆるパフォーマンス型の広告配信に重宝されてきた。
一方で、サイバーエージェントのアドテク本部Skyrocketプロダクトマネージャーの渡邉雄作氏は、そうしたパフォーマンス偏重のDSPはブランド広告主にはやや使いづらい面があったと言う。ネット広告の効果指標の1つとして、誘導したランディングページから他のページを見ることなく離脱した人の割合を示す「直帰率」が使われてきた。しかし、「一言で直帰といっても、コンテンツをじっくり読んで離脱した場合には、必ずしも効果がなかったとは言い切れない」(渡邉氏)。
特にブランド広告主などは購買や資料請求といったコンバージョンポイントを持たず、購入意向の上昇などを成果のポイントとしているケースも多い。例え直帰したとしても、ランディングページに掲載した動画などまできちんと目を通していれば、ブランド広告主にとっては価値のあるオーディエンスとなる。CVRやCPA(顧客獲得単価)といったパフォーマンス型とは異なる指標で広告を配信する仕組みのニーズが高いと考え、サイバーエージェントは滞在時間の長いユーザーを見つけ出して、優先的に広告を配信するアルゴリズムを開発。Skyrocketはこのアルゴリズムを採用して開発された。
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